第459話 夢物語
「己の弱点を自ら言うなど信じられんな」
脳と心臓の数を自ら教える愧火をシスティアが睨み付ける。弱点を晒し、一体愧火に何の得があるのか? と、システィアが疑う。
「待つんじゃ、システィアちゃん。これは信じてもよさそうじゃぞ?」
「なぜそう言えるのですか?」
リーゼスにシスティアが問う。そのリーゼスの目線の先には第5騎士隊長ボタン・トュールポポがいる。
「んっ──〝読込〟脳と心臓の位置も数も変わってない。魔力は膨大、私の見た中では最強、ビックリ」
普段から無表情の彼女だが、この時ばかりは本当に少し焦った様子が見れる。
「ゴライアスの〝最悪種〟も問題じゃの」
「二手に別れましょう。私、ヴィエラさん、ラジさん、ボタンさん、エミルさんは愧火。リーゼスさん、ルドルフさん、システィアさんはゴライアスの〝最悪種〟を相手してください。失敗は許されません。ですが、夢物語と思われるかもしれませんが。誰も死なずにいつもの日常に帰ってきましょう──」
「「「「「「「了解!」」」」」」」
*
──〝大都市エルクステン〟
ギルド付近──
「ミリア!」
意識の無い、第3騎士隊のフィオレの背中におぶられたミリアに誰がどうみても凄く心配といった声音でミリアを呼ぶ人影がある。
「──っ……!? ま、マリア教官!」
「フィオレ、貴方がここまで運んできてくれたんだね。本当にありがとう、後は私に任せておくれ」
数回会っただけの生徒である自身の名前を覚えていてくれたマリアに少し感激しつつ、フィオレはミリアをマリアに任せようとすると──
「……お……お婆ちゃん……」
「意識が、よかったわ。これを飲んでおきなさい」
マリアが〝魔力回復薬〟をミリアに渡す。
「……お婆ちゃん……お願い……聞いて……」
絞り出した声は小さいが思いは強い。
「……意識が無い……エメレアが……まだ女子寮にいるの……助けて……逃げなきゃ……」
「──ッ!? 分かったわ。必ず助けるわ。だからミリアは安心して治療に専念しなさい」
「……うん……お言葉に甘えます……」
「及ばずながら、ミリアさんには私が付いています。微力ではありますが私にお任せください」
フィオレがミリアの介護の名乗りをあげる。
「フィオレ、ありがとう。お願いします」
「いえ、元々、騎士隊長以外の全騎士は住民の避難誘導と現れた場合の魔物の討伐にあたる予定ですので、これも仕事の内ですから、お構い無く」
と、その場を敬礼するフィオレに任せ、第二女子寮のベッドで数日前から目を覚まさない眠ったままのエメレアをマリアは急いで迎えに行く。
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