第457話 最悪種
「嫌な予感がする、早く決着をつけよう」
そう言い放ったのは第5騎士隊長ボタン・トュールポポだ。灰髪のツインテールで年は15歳だが、見た目はもう少し幼く見える。
言葉遣いは淡々としており、基本無表情だ。
ボタンが魔王に手を向けると、花──もっと正確にはピンクのコスモスのような花が愧火に振りかかり、ドン! ドン! ドン! と、次々に爆発する。
「薔薇剣!」
薔薇の剣を生成する。
「先手必勝」
魔族の倒し方は、弱点である、脳と心臓を両方潰さなければイケない。さっきのミリアの攻撃は心臓部を破壊している。再生もまだだ、今なら脳を破壊すれば一気にけりが付く。
あと数cm──薔薇の剣が刺さる寸前に、邪魔が入った。
ゴライアスだ。異様なゴライアスの腕が愧火を庇った。
「ん、失敗。悔しい」
「ボタンちゃん、下がるんじゃ。にしても、あのゴライアス妙じゃな〝変異種〟いや〝吸収種〟か!?」
第2騎士隊長リーゼス・ロックが声をかける。
「どちらにしろ強敵なのは間違いない」
「そうですね、早めに片付けましょう」
第8騎士隊長システィア・エリザパルシィがレイピアを構え、第7騎士隊長エミル・ネルギがスナイパーライフルをセットし話す。
「そんなんじゃねぇよ? もっと上だ」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
ヒヒッと、笑い、愧火は挑発的な笑みを浮かべる。
「聞いたことがあります。昔〝変異種〟が〝魔力石〟を食った事件があったと。通常種が〝魔力石〟を食べると〝吸収種〟になりますが〝変異種〟が〝魔力石〟を食べると更に強い〝最悪種〟になると……」
第6騎士隊長ルドルフ・ロドライハがピクっと猫耳を動かし、汗をにじませながら呟く。その言葉に騎士隊長たちの視線が一気にゴライアスの〝最悪種〟に集まる。
ドン!!
ティクタスが剣を地面に突き刺し、あっけにとられていた他の騎士隊長の意識を集める。
「〝変異種〟だろうと〝吸収種〟だろうと〝最悪種〟だろうと魔族だろうと、我々は勝利しなければいけません! 今一度、気合いを入れ直してください! 私たちはここに勝ちに来た!」
そうだ、我々は仲間を守り、勝ちに来たのだ。
改めて、戦闘に集中する騎士隊長8名。
「お前たちに面白れぇモンを見せてやるよ? これを見るのは人類史上初だろうぜ? 光栄に思いな」
愧火が懐から取り出した物に、一同は目を見張る。
「〝魔王石〟!? バカな、あれは〝アルカディア〟に〝聖女〟ジューリア・クーローが持っていき、今は〝アーストライト大聖堂〟に封じられている筈」
システィアは冷や汗を流しながら言う。
「教えとくと、これはガリアペスト様の魔王石じゃねぇよ。ユガリガ様の奴だ。入手は簡単だったぜ」
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