第456話 火蓋ら切られた
ミリアの杖が愧火に刺さる。
「!?」
思いの外、速いミリアの攻撃に不敵に愧火は笑う。
数秒遅れてミリアの魔法が発動する。
ミリアの杖に埋め込まれた〝聖海の青玉〟が蒼く光る。
ヒュッ──ン! ドッカ──ン!!
「がはっ……」
一番最初に倒れたのはミリアだった。
理由は単純、魔力枯渇だ。
「おいおい、とんだ、誤算だなぁ」
爆発後には愧火の腹は凍り付き、うじゃうじゃといた魔物は全て消え去り、風穴の空いた愧火、そしてゴライアスのみが残っていた。
「……まだ……終われない……終われないの……!」
地面に倒れ伏し、指一本動かすのが限界のミリアが言葉を絞り出す。
「──ッ!?」
愧火が刀を天に掲げた、先の空には──無数の赤い隕石が浮かんでいた。
「ハハハ、いいねぇ、効いたぜ。小さいの──」
大きさは、そこまで大きくはない2~3m程度だ。
数は8──ミリアを潰すには十分過ぎる数だ。
「う……ガハッ……」
血を吐くミリア。
嫌だ、死にたくない。
死んだら皆にもう会えなくなっちゃう。
ご飯も食べれないし、楽しいも感じられなくなる。
隕石が私に当たる瞬間、温かい走馬灯を見た。
ねぇ、お父さんお母さん、私も死んだらまた逢えるかな──。
ギュっと目を閉じた。
その時だ。
──ハラリ。
1枚の羽がミリアと隕石の間に舞った。
次の瞬間──
ヒューン、ドンッ──!
白い二翼の翼が隕石を弾いた。
その翼の持ち主は優しくミリアに話しかけてきた。
「ミリアちゃん、よく頑張ったわね! もう大丈夫──後は私たちに任せなさい」
「ヴィ、ヴィエラさん……!!」
現れたのはギルド第3騎士隊長ヴィエラ・フローリアであった。
「もう大丈夫よ、皆、来たから──」
4つの刃が隕石を4つ斬った。
1つの弾が隕石を1つ貫いた。
1つの拳が隕石を1つ砕いた。
1つの花が隕石を1つ破壊した。
「……あーあ、折角の隕石が台無しじゃねぇか」
そんな愧火の前に8人の騎士隊長が横並びに立ち、愧火と異様なゴライアスを一瞥する。
「ミリアさん!」
「フィオレ、ミリアちゃんをギルドまで運びなさい」
「了解しました」
ミリアを連れ〝鳥人族〟のフィオレは空高く駆け上がる。
「ミリアさん、大丈夫ですよ。ギルド騎士隊長が8人、勢揃いですよ! きっと勝てます。ミリアさんが時間を稼いだお陰ですよ!」
薄れ行く意識の中、ミリアは最後にそんな言葉を聞いた。
「全体、騎士隊長以下は下がり、民衆の避難誘導にあたってください! 騎士隊長はあれの相手です」
指揮を取るは第1騎士隊長ティクタス・フーズレイズ。剣を向けた先には愧火と異様なゴライアス。
ここ〝大都市エルクステン〟にて──ギルド騎士隊長vs魔族愧火&ゴライアスの闘いが火蓋を切った。
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