第443話 黒霊山5
斬撃を飛ばす奴は強者だと誰かに聞いた。
このデュラハンも例外では無いらしく、当たり前のように斬撃を飛ばしてくる。
飛ぶ斬撃に対し、こちらも飛ぶ斬撃を放ち、攻撃を相殺する。そんなやり取りがしばし続いた。
「少し本気で行くぞ?」
ザワ──……と辺りの空気が重く変わる。
俺は気圧すように魔力を放出しデュラハンの出方を見る。これでビビって逃げてくれればいいんだが、そうも上手くはいかないみたいだ。
逆に向こうも覚悟を決めちゃったようだぞ。
あーあ、やる気だよ。まあ、俺もやる気だけど。
これは喧嘩じゃない、命と命をかける決闘だ。
異世界でデュラハンと命を賭けた決闘。
何かどんどん魔王討伐から離れてる気がするぞ。
ドン、と右足を踏み込んだ。
刹那の時間で距離を詰めた俺にデュラハンはギリギリの所で反応して来る。ほん0.01秒の遅れが勝敗を分けた。
右横腹から左肩にかけて月夜を振るう。若干、遅れてだが、それを防ぐデュラハンはやはり並みじゃない。
──だが、これで準備は揃った。
俺の月夜がデュラハンの剣を下から上に弾いている。デュラハンの胴体はガラ空きだ。
〝アイテムストレージ〟から短剣を取り出し、たっぷりと魔力を込め、さっきと同じく右横腹から左肩を目掛け短剣を下から上に振るう!!
斬られたデュラハンからは驚いた様子が、どこからともなく感じ取れた。
それはデュラハンが手に持つ自身の首から感じたかもしれない。兜被ってて本当によかった。
生首に驚かれるって怪談はあまり聞かないけど十分にホラーな話だからな。
深い傷を負わせた、つーか致命傷だと思う。
デュラハンはあおむけに倒れたまま動かない。
だが、消えないってことはまだ死んでない。
そして倒れていたデュラハンが動く。
首を投げてきた。自分の。
(うおっ!?)
自分の首を投げてくる奴に出会ったことは今までの記憶には無い。
予想外の行動に少しばかり反応が遅れる。
「《タラニハヤハ コク シハナタヤマタ》」
兜頭の生首が呪文のような物をカタコトに呟く。
するとみるみる首が赤くなっていき、膨れ上がる。
(──爆発する気か、不味い、間に合わん!)
ズッ、ドォォォォォ──ォォン!!
首が爆発する。
とっさに魔力を纏った月夜で爆発ごと吹き飛ばすが、俺と後方のクレハを守るので精一杯だった。
辺りは焼け野原、そこには首を失ったデュラハンが剣を構え立っていた。ガチの首無しで死なねぇのかよ。
刃に魔力を込める──さあ、これで終わりだ。
「──〝四篩・創天覇紋刃〟!!」
一気に距離を詰め放った4つの斬撃がデュラハンをバラバラに斬り分ける。
お馴染みのゲームのラグのような物が走り、今度こそデュラハンは完全に消失したのだった──
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