第441話 黒霊山3
黒霊山は空気が冷たい。気温の話しでは無い、背筋が凍るような、そんな冷たさだ。
「よし、取り敢えず、山頂まで行ってみるか」
黒雲を突き抜けた、更にその先に山頂はあった。
「うん、進もう、あ、でも、手は離さないでね」
ぎゅっと、俺の左腕を握るクレハ。
少しぷるぷるしてる。どうやら怖いらしい。
少しからかいたくなる。
でもまたからかうと怒られるので静かにしておく。
「ユキマサ君、今、私をからかおうとしたでしょ?」
「……」
「ユキマサ君?」
「悪かった、悪かった。詫びに今度なんか奢る」
ムスっと、まだクレハはムクれてる。
「大丈夫、絶対に離さねぇよ」
話を戻し、クレハの手をぎゅっと握り返す。
「う、うん///」
──その時だ。
「囲まれてるな」
岩の間や顔を出し、山の中からぞろぞろと湧き出てくるのは──鎧骸骨。スケルトンとも言うだろう。剣も盾も持ってるよ。
他にもいるなボロボロマントの大鎌を持った、幽霊っぽい魔物。足はない、浮いている。ボロボロマントの大鎌を持った幽霊っぽい魔物の呼び方は、今のまんまだと語彙力も足らないし長いので、纏めて鎧骸骨以外の幽霊っぽいのは総じて〝鎌ゴースト〟と呼ぼう。
みんな鎌とか鍬とか持ってるし。
(これがアンデッド系って奴か、にしても数が多い)
手を繋いだままのお姫様抱っこという珍しい形でクレハを抱き抱える。
「相手にしてたらキリがねぇ、突っ切るぞ!」
「え、嘘!? あの中を、待って待って、キャー!」
足元に魔法陣を展開し、一気に踏み込み、鎧骸骨の真上を飛び越えた──
と、思ったら、まだいるよ……鎧骸骨も鎌ゴーストも、何体いるんだ?
鎧骸骨の頭を踏み台にして、また跳び越える。足場にした鎧骸骨はバラバラと崩れる。消えないってことは死んではいないみたいだ。
いや、骸骨だし、そもそももう死んでるのか?
次の瞬間、鎧骸骨と鎌ゴーストが一斉に持っていた剣と鎌を投げてくる。
自棄糞気味な攻撃に見えるが、100.200の数ではない500.600ぐらいの武器が一斉に降ってくるのはちょいと面倒臭い。
そして何より、この武器には魔力が込められている。拳や武器に魔力を纏うのは人類の専売特許というワケでは無いらしい。
ここの魔物は随分とレベルが高いな。魔力を纏えるってだけで普通の魔物よりも一枚、いや二枚ぐらい上手だ。厄介だな。てか、こんなとこよく住んでたな〝天聖〟──どれぐらい住んでたか知らないけど。
「大丈夫、ユキマサ君、飛ぶよ!」
クレハが剣や鎌が飛んでくる反対側の遥か上空を見ながら言う。
──ヒュン、パッ!!
一瞬で景色が変わる、
〝空間移動〟──この感覚も少し慣れて来たな。
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