第440話 黒霊山2
──翌日。
「さて、黒霊山か、いざ近くに来て見ると、何か雰囲気のある山だな」
空気が冷たい。思わず背中がゾクリとする。
俺は残念ながら霊感は無いんだがな。幽霊が怖いかと聞かれれば、怖くない。生きてる人間が一番怖いと母さんに育てられたからな。
そしてこの山は1000年前の人類の英雄──〝天聖〟が住んでた山と来た。
〝天聖〟か、何せ1000年も前の人物だ。俺が会うことは無いだろうが、少し興味はあるな。
その〝天聖〟がこの山で何をしていたのか、この山で歴史を少しばかり辿らせてもらうぜ?
「ユキマサ君、手、繋いでいい?」
「ハハ、怖いのか?」
「う、少し」
「霊山ってのは別に全部が全部、幽霊が出る場所ってワケじゃないんだけどな。まあ怖い物は怖いか」
霊山とは、神聖な山を表す言葉の筈だ。
そして俺はクレハの手を取る。怖くないぞと。
「ユキマサ君、ここ普通の霊山じゃなくて黒霊山だから、幽霊とか……でるよ?」
「? !? ──あっ……悪い、勘違いしてた」
本当だ。普通の霊山じゃない黒霊山だ。全く別物だ。こりゃ、盲点だったな。
ゲームセンターとホームセンターぐらい違う。
「なあ、クレハ、幽霊っているのか? 俺のいた世界じゃ幽霊なんていないって奴のが多かった。宇宙人とか幽霊は科学でもまだ解明はされてない」
不意に俺はそんな風に聞いてみる。
「こっちの世界でも公には認められてないよ。出るのは正確にはアンデッド系の魔物かな。でもね、私は一回だけ幽霊(?)見たことあるんだ」
「へぇ、その手の体験談を実際に聞くのは初めてだ」
「本当に幽霊だったかどうかは分からないけどね。場所はミリアの湖・ミリアの両親のお墓前。ミリアが手を合わせてる時、急にミリアの背後に白くぼやけた優しそうな二人の人が現れたの。そして頭の中に直接『いってらっしゃい』って言葉が流れてきて、気づくと二人は消えてたの。ハッキリとは見えなかったけど多分あの二人は亡くなったミリアの両親だと私は思う──」
優しい声で、温かい感じだったとクレハは言う。
「もう幽霊が実在しても驚かない自信があるが、身内の幽霊か……昔、理沙が言ってたよ『幽霊でもいいから、もう一度おとーさんとおかーさんに会いたい』ってな、クレハが見たのが本物で幽霊が実在するなら、理沙の願い通り、幽霊になった親父たちになら、もう一度だけ会える可能性も微粒子レベルだがあるな」
──親父、母さん、もし幽霊になって誰かに会う事ができるのなら、理沙に会いに行ってやってくれよ。
きっと、きっと、理沙は心から喜ぶからさ。
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