第436話 泥棒
──〝大都市エルクステン〟
郊外・結界の家──
数日ぶりに帰宅した、稗月暁、花蓮理沙、ストレア・イリスが目にした光景は壊れた屋敷の姿だった。
「──なんじゃ、これは?」
「ど、泥棒!?」
──ッ!!
その言葉を聞いた暁が慌てた様子で口を開く。
「おい、ストレア! あれはどこじゃ!!」
「……ッハ! 〝魔王石〟ですか? 直ぐに!!」
ダッと走り出し〝魔王石〟を探しに行く。
〝魔王石〟とは〝7年前の魔王戦争〟で、魔王ユガリガを倒した時にドロップし、そのまま保管してあった。正直〝聖教会〟や〝国家〟が機密に保管するレベルの代物であり、個人が持つような代物ではない。
「ありません! 盗まれました!!」
バタバタバタと血相を掻きながら戻ってくる。
「わしの結界を破る程の泥棒か、ますます緊迫してきたのぅ。いやぁ、しくったの──」
「おじーちゃん、どうしたの……?」
暁とストレアのスパルタレッスンで疲労困憊の理沙はぐったりしながら話しかける。
見た目はどうみても20代半ば~後半の暁をおじいちゃんと呼ぶ理沙にストレアはまだ慣れていない。
「魔王石を盗まれた。盗んだ奴にどういう目的があるかは知らんが、場合によっては自体は最悪じゃ」
「どうしますか? 追いますか?」
「もう遅い。まあ、魅王の墓が無事でよかったわい」
「分かりました。屋敷の修復には少し時間がかかるかと」
「そこは任せる。エルクステンの大工なら直ぐ直せるじゃろ。金は──ああ、盗まれてないの。そこから用立てといてくれ」
「はい、分かりました。暁様」
「──と、じゃあ、理沙は特訓の続きじゃ」
「ふえぇぇぇ!」
「せめて単身で魔獣ぐらい倒せるようになってもらわんと、わしは安心して孫を外を歩かせられん」
涙目の理沙はズルズルと運ばれてく。
「せめて、お寿司、1貫だけでいいから。回転寿司じゃなくてスーパーのでいいから、お寿司が食べたい!」
「残念じゃが、この世界に寿司屋は無い。日本に帰ってからじゃな。それかユキマサにでも頼め」
「あ、それいいかも! おじーちゃん、ユキマサ探しに行かない?」
「特訓が終わったらの」
「あのー、暁様、理沙様、実はですね……そのユキマサ様の情報と言うか、何か不味いことになってるみたいでして……」
「ストレアさん、どういうことですか?」
「煮えきらんの、ハッキリ言え」
差し出されたのはニュースプテラから数日前に買ったきり読んでなかった新聞、トップ記事では無いものの、しっかひと1ページ使われた記事の内容は──
「ほう……」
「は……」
稗月倖真の手配書記事。
これには二人もポカーンと眺めるしかなかった。
★★★★★★作者からのお願い★★★★★★
作品を読んで下さり本当にありがとうございます!
・面白い
・続きが気になる
・異世界が好きだ
などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!
(また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)
★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!
長々と失礼しました!
何卒よろしくお願いします!




