第428話 銀雪祭19
「あらぁ、どこかで見たことある顔だと思ったら、私のお店に買い物に来てくれたお兄さんとお姉さんじゃないの。こんな所でバッタリなんて運命感じるわ」
「よう、青髪店主。あんときは値引きありがとな」
「いやねぇ、青髪店主なんて仰々しい。クリスって呼んでちょうだいっ」
「そうか、俺はユキマサ。で、隣の黒髪がクレハ。そこのチャラいのがチャッチャラー。隣がアリシアだ」
と、流れで他の奴らの紹介も済ませると。
「初めまして、イカプリオと申します」
イカに名乗られた。初めての経験だ。
あと名前にはもう突っ込まないぞ!
「イカプリオさんはね〝イカの王子様〟なんですよ」
「リナちゃん、それマジの話か?」
「うん、そう伝えられてます」
イカプリオに視線を向けると──
「ごほん。改めまして、イカの星からやってきました〝イカの王子〟──イカプリオです」
「イカの星ってのはどこにあるんだ?」
「ユキマサ君、それ聞くの!?」
そっとしといてあげようよ。みたいな感じでクレハが少し身を乗り出す。
「イカの星は、皆さんの心の中にあります」
ねぇ奴じゃん! それ!
まあ、深く聞くのは止めておくか。
「リナちゃん、何か食うか?」
「え、あ、はい。実は私お腹ペコペコです」
「あ、じゃあ、私とポルケッタのパニーノ食べない? 美味しいよ、これ?」
「あ、大好物です。いいんですか?」
クレハにポルケッタのパニーノを渡されるリナちゃんは遠慮気味だが、嬉しそうに受けとる。
「クレハお姉さん、ありがとうございます」
ペコリと頭を下げてキチンとお礼を言うリナちゃんを見てクレハは「可愛い♪」と上機嫌。ナデナデとリナちゃんの頭を撫でていたよ。
「ウィス、イカプリっち、せいが出るッスね」
「これはこれはチャッチャラー先輩」
「知り合いか?」
「まあ、親友ッスかね。中の人は。普段は冒険者で〝ゲソの極みスルメ〟って、冒険者パーティーのリーダーさんスよ」
あ、言っちゃったよ中の人って、それ時と場所次第では禁句、果てには異端審問にかけられるぞ。つーか、本職もイカじゃん! 何だよ〝ゲソの極みスルメ〟って? ミリアの父親の冒険者パーティーの〝吟遊詩人〟のか数倍お洒落だし、異世界チックだそ。本当にこの国はイカ推し過ぎだろ?
クレハの膝の上に座り、リスみたいに、もぐもぐとポルケッタのパニーノを食べるリナちゃんと、チャッチャラーから酒を貰い、早くも出来上がりつつある青髪オカマのクリス。そして「さて、踊りましょうか」と、謎のポーズを取り始めるイカプリオ。
(にしても集まってるな。こんなと言ってはあれだが、雪の街に、それなりの奴らが)
まあ、とにかく俺は指名手配犯の稗月倖真だってバレないようにしないとな。
サラッと、ユキマサって名乗っちゃってるけど、でもそれは裏をかいてってことで。まあ手配書と顔を見比べられたりしたらその時点で終りなんだけどな。
★★★★★★作者からのお願い★★★★★★
作品を読んで下さり本当にありがとうございます!
・面白い
・続きが気になる
・異世界が好きだ
などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!
(また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)
★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!
長々と失礼しました!
何卒よろしくお願いします!




