第421話 銀雪祭12
*
「チャッチャラー君、遅いわね」
30分待ってもチャッチャラーは帰って来ない。
「まあ、事が事だからな」
魔王信仰と言えば世界的に手配されてる犯罪グループ(?)だしな。後処理は面倒だろう。
その面倒を押し付けて来たのは俺なんだけどさ。
更に20分。チャッチャラーが戻ってきた。
「時間かかってサーセン。つーか、ユキマっさん、マジ何者なんスか? このタイミングで魔王信仰に気付くなんて普通じゃないっスよ、いやマジで!」
「前置きはいいんだが、護送はできそうか?」
「はいっス、お陰さまで! 祭りの邪魔してもアレ何で内密に護送しやした」
「俺が聞いた話だと、奴等は何かしらの魔法を身体に組み込んであって自決するらしい。気を付けときな」
命が惜しくない奴は本当に厄介だと思う。
相討ち、刺し違い、道連れ、言葉は色々あるが、どれも奴等なら笑って行う所業だろう。
どうか平和に祭りが終わってほしいものだね。
「──そういえばチャッチャラー君、その頬のタトューはどうしたの? お姉さん、あまり感心しないな」
ホットココアを飲むアリシアが不意にチャッチャラーの右頬のハート型のタトューを見つめ問い始める。
まだアリシアが目の見えてた頃には無かったのだろう。チャッチャラーを見るアリシアの目は冷たい。
「ここ、これはっスね、願掛けというか決意というか……」
冷たい目で見られたチャッチャラーは泣きそうだ。
こんなタトューバレて泣きそうな顔してるチャラ男(多分30代)見たくねぇ……
「願掛け? 決意? どういうこと?」
冷静に、でも何処か険しくアリシアは問う。
「俺……姉ちゃん魔王戦争で亡くなってから、このタトューを入れたんス。俺の家族。ハアト姉さん。その意思を俺が次ぐために、言葉遊びっスがハアトだからハートのタトューを入れたんス。いつも一緒に。そんな子供みたいな願いを込めて彫ったんス──」
「そっか、うん、なら良し。私も入れようかな?」
「ちょ、ダメっスよ! アリシアさんのパーペキなお顔にタトューはダメっスよ。タトューは俺に任せて置いてくださいっス!」
「冗談よ、チャッチャラー君と居れば二つは必要ないしね」
そんな会話を聞きながら、俺が──
「俺も何か入れて見るか」
と、言うと。
「え!!」
クレハが奇声を上げた。
「ユキマサ君なら似合うかもだけど私は今のままのユキマサ君が良いって言うか……何と言うか……」
「冗談だよ。チャッチャラーみたいに素敵な想いのある印も思い付かないしな」
そう言うとクレハはホッと胸を撫で下ろした。
どうやら話から察するに、クレハは俺にタトューは入れてほしくないらしい。何でかは知らないけど。
★★★★★★作者からのお願い★★★★★★
作品を読んで下さり本当にありがとうございます!
・面白い
・続きが気になる
・異世界が好きだ
などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!
(また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)
★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!
長々と失礼しました!
何卒よろしくお願いします!




