第416話 銀雪祭7
「えと、暗い話は置いといて、明るい話をしよっか」
「あ、明るい話ですか?」
「恋バナとか? 私、クレハちゃん応援するよ」
「おおお応援てッ!?」
「ふふ、クレハちゃんはユキマサ君とどうなっちゃいたいのかな?」
「あぅ……アリシアさん楽しんでますよね?」
「恋バナは楽しいと相場が決まってるのよ」
アリシアは空を見上げると「夜空も星も久しぶりに見るとこうグっとくるわね。歳かしら」と呟く。
「クレハちゃん、告白しないの?」
二コ二コと笑いながらイタズラ気に、でも真剣に問いかける。
「こ、告白ッ!? ユキマサ君にですか!?」
「他に誰がいるのよ。それとも誰か他に意中でも?」
「……いません。ユキマサ君だけです」
「断らないと思うけどな。クレハちゃんと旅や宿まで二人っきりで一緒なんだもん。逆に今まで何にもなかったのって奇跡よ。ユキマサ君、理性強すぎ……」
「そこら辺は信頼してますから。う、でも私、魅力ないのかなぁ……」
「そこは心配しなくていいんじゃないかしら? 同性の私から見てもクレハちゃんは可愛いし魅力的よ」
「あ、ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです」
「お世辞じゃ無いんだけどなぁ」
少し下を向いたままクレハが口を開く。
「私、決めたんです。自分の気持ちには覚悟を決めましたが、焦らないって。その結果、その結果……ダメだったとしても──アリシアさん、私、今幸せですよ」
「そっか……じゃあ、私はお節介なだけかな?」
「そ、そんなお節介だなんてっ!?」
パタパタと焦りながら手を振るクレハ。
「私、今幸せなんです。これ以上は私には贅沢なぐらい。だから今は今のままで、それ以上は望みません」
「ユキマサ君が他の子と付き合っちゃったらどうするの──ッ!? て、わ、嘘嘘、冗談冗談だってば!」
顔を真っ青にし、誰がどう見ても、ず~ん……と頭から顔にかけて青色の線が見えるほどにヘコむクレハを見て、慌ててアリシアがフォローを入れる。
「……ユキマサ君が幸せならそれでもいいです。まあ、それでも私は泣きますけど」
「あ、やっぱ。それでも泣くんだ!?」
「泣きますよ。多分私は自分でも引くほど泣いちゃいます。そんなことを今考えるだけで泣きそうですし」
「クレハちゃん……」
「もしそうなったら私、ユキマサ君の相手の人と仲良くなりたいです」
「え……? ど、どういうこと!?」
更に焦るアリシアにクレハはゆっくり立ち上がり、2.3歩、足を進めてから振り返りハッキリ言った。
「好きな人の好きな人なんて素敵な人に決まってます。だから私も好きな人の好きな人なら好きになれると思うんです。もしもそんな未来が来ちゃったら私は──好きな人の好きな人をちゃんと好きになってから「おめでとう」って心から言うんです。心から、笑って、泣きながら」
未来なんて誰にも分からない。だからそんな結末もあるかもしれないと。少し泣きそうな顔で微笑む。
「クレハちゃん、ごめんね。私、デリカシー無さすぎたわ。変なこと聞いてごめんなさい……」
「そんなこと無いです。話を聞いてくれて少しスッキリしました」
「クレハちゃん本当にごめんね。私でよければいつでも相談乗るから、今度はもっと真剣に!」
「はい、ありがとうございます」
「あ、クレハちゃん、イカ焼き食べ行こ。二人も誘って」
「縁起物ですもんね、改めてしっかり食べたいです」
「じゃあ、決まり。二人はどこかな?」
アリシアはクレハの手を取り、ユキマサとチャッチャラーを探しに広場へと戻るのだった──
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