第415話 銀雪祭6
*
「クレハちゃん集合!」
「あ、はい。お待たせしました?」
「聞いたわ。クレハちゃん、ユキマサ君と付き合ってないって本当!?」
「あ、はい。本当です」
「冒険者パーティーでも無いんでしょ? しかも旅も宿も一緒でってお姉さん心配になるわよ?」
本当にクレハを案ずる様子のアリシアの目は真剣だ。なにせクレハが悪い黒い男に遊ばれてる可能性があるのだから。
クレハとアリシアが会ったのは今日が初だが、アリシアはクレハを大層気に入っていた。
そんなお気に入りの年下のかわいい女の子のピンチを放っておけるほど、器の小さい人間ではなかった。
「それは私から志願して行ったって言うか……」
「クレハちゃんはユキマサ君の事が好きなのね」
「……う、わ、は、はい。好きです。大好きです」
その言葉を聞くとホッと息を吐くアリシア。
「その言葉が聞けてよかったわ。で、で、ユキマサ君とはどこまでいってるの? 告白はした? された?」
「う……し、してないし。されてないです……」
「そっかぁ、ユキマサ君って見た目の割りに奥手なのかしらね? 意外と恋愛に疎いタイプ? という私も冒険者稼業ばっかりで、恋愛なんてチャッチャラー君が初めてだから偉そうなことは言えないんだけどね」
「アリシアさんて冒険者だったんですか?」
クレハが意外そうに問いかける。
「そうだよ〝7年前の魔王戦争〟まではね。私も戦ったんだ。でもそこで呪いを受けて目が見えなくなっちゃって。相方だった、ハアト。あ、チャッチャラー君のお姉ちゃんね。も亡くなっちゃってね……」
「あ、すいません。私、知らなくて……」
「気にしないの、気を使いすぎ。疲れちゃうよ?」
ナデナデとクレハの頭をアリシアは撫でる。
「こう見えても結構有名な冒険者だったんだから。それとクレハちゃん、あなた騎士でしょ?」
「!? せ、正解です。何で分かったんですか?」
「何となくかな。でも分かるんだ。ちなみにユキマサ君はごめんね。悪い言い方になるよ。逃亡者でしょ」
「ごめんなさい。その質問に私は答えられないです」
「大丈夫、言いふらす気なんて微塵もないから。ユキマサ君て私の大恩人よ? 第二の人生を私にくれた人って言っても過言じゃない。だから寧ろ聞きたい、ユキマサ君は何で追われてるの?」
「ユキマサ君は悪くありません。悪いのはエルフの国と最高貴族です。エメレアちゃんの件もあるし、最高貴族……本当に赦せない……私、嫌いです」
「あちゃ……最高貴族が出てくるか、職種的にチャッチャラー君も思うところがあるって嘆いてたわね」
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