第413話 銀雪祭4
──ワォォォォォォーーーーン!!
狼の遠吠えが会場に響き渡った。
俺とクレハ、チャッチャラーとアリシアの真上を大きな影が移動する。
(──銀狼)
それはさっきの仮装等ではなく、正真正銘、銀色の狼だ。サイズは大きいな。10mはある。
(こんな街中に魔物か? いや、コイツは──)
そんな化物の登場に会場は阿鼻叫喚するかと思ったら──わー、わー! きゃー! きゃー! と、大喝采からの大盛り上がり。
さっきのイカまで謎ダンスで盛り上がってるよ。
「ユキマっさん、イカ焼き食いました?」
「うわ? 食ったけど、何でだ?」
俺は祭りでイカ焼きを見つけたら必ず買うように親父からしっかりと英才教育を受けている。
「この祭りでは皆、イカ焼きを食うんスよ」
え? てか、イカ焼きにそんな需要があったの?
「伝説の銀狼の好物がイカだったんスよ。だからこの銀雪祭とイカは切っても切れないんス」
「だから、イカが至る所にいたのか。謎が溶けたぜ」
ザックリ言うと、お稲荷さんと油揚げ、河童ときゅうり、ネズミにチーズみたいなものか。
銀狼にイカ、頭の片隅には覚えておこう。
「そうだアリシア調子はどうだ?」
「はい、お陰様で絶好調よ。バッチリ見えるわ」
長い薄栗毛色の髪を揺らしアリシアは微笑む。
「俺的には呪いはまだまだ分からないことだらけだから、時間が経ってもちゃんと治ったままか少し気になってたが、1時間経って大丈夫なら杞憂で終わりそうだ」
──祭りは進んでいく。仮装狼部隊の奉納舞踊に始まり、中央に鎮座する大きな銀狼への供物を客がどんどん置いていく。まあ殆どがイカと酒なんだが。
その後はもう歌えや飲めや踊れのどんちゃん騒ぎ。個人的にはやはり終始ケルト民謡のような今すぐ踊り出したくなるような音楽が流れていたのが好ポイントだった。
銀狼までが酔い始めて祭りと言うより、宴会に近い状態になってしまう。つーか、何者だよ。銀狼。
途中、チャッチャラーが「皆で食べやしょう!」と、カボチャのキッシュを買ってきてくれた。
これはまだ食べてないやつなので感謝だ。
「へっへー、ダブルデートっスね!」
「……? 別にダブルデートじゃないんだが?」
「……は? いやいや、俺、アリシアさんと付き合ってますから! どう見てもダブルデートっしょ!?」
「いや、だから俺とクレハは付き合ってねぇぞ?」
しばしの沈黙。そして時間差で──
「ば、ぶっ、べッ! いや、そりゃ嘘っスよね!?」
俺ではなくクレハにチャッチャラーが問う。
「あ、はい。付き合ってないです……」
その返事にチャッチャラーは口をポカーンと開けて時が止まっている。
(つーか、似たようなやり取りがこの数日で何回かあったぞ。シナノとかランとか? 何回やるんだよ)
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