第398話 氷点下の朝
──翌朝、俺にしては早い起床だった。
「う、寒っ。うわ、外、大雪じゃねぇか!」
視界を塞ぐかのような一面の白──白銀の世界。
「本当だ。あ、部屋の中、氷点下だ……」
「煖炉焚くより下で朝食を食った方が早いな」
「そうだね。宿の食堂なら火元があるだろうし」
「先に行くぞ」
〝アイテムストレージ〟からの一瞬の早着替えで黒の寝巻きから、黒の和服に黒の羽織に着替えた俺は、クレハが着替えるので、一足先に食堂へと向かう。
宿部屋を出て階段を降り、食堂との境になっている扉を開けると──
「うお、温っけぇ」
朝っぱらから、もうチラホラと人がいる。
冒険者か? 憲兵は流石にいなさそうだな。
「あ、おはようございます」
パタパタと話しかけて来たのは、頭にバンダナを巻いた茶髪ショートの宿屋の娘だ。
名前はラン。15歳らしい。朝から元気だ。
「よう、悪天候だな。近年まれに見る大雪だ」
「あれ、彼女さんはどうしたんですか?」
「クレハのことか? つーか、彼女じゃないんだが」
「あ、奥さんでしたか。これは失礼しました」
「いや、奥さんでもねぇよ。友達だ」
すると、ランは「……」と少し間を開け。
「えーー!! 付き合ってないんですかっ!!?」
口をあんぐりとあけ、朝から大絶叫。
そーいや、つい最近もシナノに驚かれたな。
「だから付き合ってないって」
「あんな仲が良くて、部屋まで一緒でですか!?」
「え、あ、うん。そうだけど?」
「あ、あり得ません……」
フラフラとした足取りで「そんなバカな」と言いキッチンの方へと歩いていく。大丈夫か、アイツ?
「ユキマサ君、お待たせ。あれ、どうしたの?」
「いや、何でもない。つーか、クレハ、お前の防寒着はその首もとがモフモフの黒いコートだけか?」
「うん、他は家に置いて来ちゃった。まさか〝スノーワイトの街〟に来るとは思わなかったから」
食堂は暖かいね。と、クレハは笑う。
「じゃあ、今日は服でも買いに行くか? 防寒着ぐらいなら買ってやるよ」
「そ、そんな、わ、悪いよ!」
「風邪引かれた方が俺的には不都合だからな」
だって、俺の回復魔法じゃ風邪は治せないし。
「本当にいいの……?」
「ああ、好きなの選びな」
「ならユキマサ君に選んでほしいな……ダメかな?」
「自分で言うのも何だが俺は和服……スイセン服ばっかりだから流行りのとかよく分からんぞ?」
「ユキマサ君が選んでくれた物なら何でもいいよ」
視線を少し逸らしながら少し顔を赤らめるクレハ。
「まあ、そこまで言われて悪い気はしないな。分かったよ、引き受けた。違うとか、後で文句言うなよ?」
朝食のパンとスープを待つ間にそんな約束をした。
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