第396話 火は偉大なり
「魔物や魔獣が強化される?」
「うん、通称──〝吸収種〟魔力玉を食べれば食べるほど強化されるから本当に危険なんだ」
「〝吸収種〟ねぇ──〝変異種〟といい、厄介なのがいるんだな」
「あ、後、ユキマサ君、魔王からドロップした〝魔王石〟ってどうしたの?」
そういえば……みたいな感じでクレハが尋ねてくる。
「あれならノアに渡したが?」
「あ、ノアさんに。ホッ……それなら安心だね」
「何かあるのか、あれ?」
「うん、まあ懸念なんだけどね。あれも取り込むと力が増すらしいんだ〝魔王石〟は〝魔力玉〟の比じゃないよ。まあ、今の所は前例は無いけど」
ブルりとクレハは身震いをする。
取り込んだ奴は魔王クラスの化物ってことか。
「でも、ノアさんが持ってるなら一先ずは安心かな」
「だろうな。ノアなら間違っても、魔物や魔獣に喰われるようなポカはやらねぇよ」
「そうだね。う、寒い。煖炉焚こう」
「賛成だ。折角の鍋で温まった身体が冷めちまう」
クレハが手慣れた手付きで煖炉に火を点ける。
薪は別料金らしいが、そんなに高いものではない。一束で銅貨3枚。一束あれば一晩は余裕で持つ。
日本円で300円で暖が取れるなら安いものだろう。
しっかりと火が点くまでには少し時間がかかったが、暖かさは段違いだ。芯から温まるね。煖炉は。
「あったかいね」
「火は偉大だよホント」
両手をパーにして前に出し、二人で並んで煖炉にあたる俺とクレハは自然と笑みが溢れる。
パチパチと燃える火が静かな夜によく響く。
ちなみに煖炉付きの宿屋は珍しい気がするが、一年中雪の降るこの街ではポピュラーなことらしい。
ふと外を見るとやはり雪がしんしんと降っている。
(こりゃまた積もるな。俺は嫌いじゃないけど、雪)
──部屋が温まるまでクレハと煖炉の前で話した。
夜が更けると共に煖炉で暖まってきた部屋の中でウトウトし始めるクレハに「もう寝な」と言うと「ううん、もう少し」と首を振った。
すると不意に──ぎゅっと俺の和服の袖をクレハが握り、白く綺麗な顔を赤らめ、恐る恐るに口を開く。
「あ、あの、ユキマサ君、今日一緒に寝ていーい? あ、ほら。寝るときは煖炉消えちゃうし、寒いし……」
「ああ、一緒に寝ようぜ。つーか、何か今更だな。何回も一緒に寝てるんだし。まあ、慣れてはないけど」
てか、毎回理性を保つ俺の身にもなってほしいが。
二つあるベッドの片方に二人で入ると、流石に狭い。クレハの部屋にあったようなダブルベッドでは無く、一人用のシングルベッドだ。当たり前か。
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