第392話 人命救助
「ユキマッさんマジパネー……いや、ホントマジで」
「さ、流石だね。ユキマサ君」
「わ、わ、な、な、何が起きたんですか?」
リナちゃんだけは状況が飲み込めずにいる。
チャッチャラーとクレハは唖然としていた。
「今回の目的はリナちゃんの父親探しだろ。しかも火急の。たかがデカイ蛇なんぞに足止め食らってる場合じゃない。本来の目的を忘れるな」
俺たちの目的は魔獣討伐じゃない、人命救助だ。
俺は目を閉じ──スキル〝天眼〟を使う。これで辺りの生物の居場所は手に取るように分かる──
破壊された山、瓦礫の下、その辺りを重点に探る。
生存者、生存者はいないのか!!
その倒れた木の下に人がいる。だがダメだ。
生命反応がない。死んでいる。
諦めるな、生存者を探すんだ!
「ユキマッさんは何を?」
「スキルです。少し静かにお願いします」
ナイスなクレハ。静かにしてくれるのはありがたい。
──いた!!
リナちゃんの父親かは分からないが生存者だ!
「あの岩の下だ! 生存者がいるぜ!」
急ぎ移動すると、岩と倒れた木で埋まっている。
この下だ。この下なんだが……
岩を破壊するにも下の人間への被害が心配だ。
クソッ、一つ一つ地道に退かすしか無いのか。
「ユキマサ君、私に任せて!」
クレハがリナちゃんを背負ったまま、己のユニークスキル──〝空間移動〟を使う。
クレハの空間移動はタイムラグが一切無いので、岩や木と言った瓦礫が一瞬で消える。
「──お父さん!!」
リナちゃんがクレハから飛び降り慌てて駆け寄る。
瓦礫の下から出てきたのは今にも死にそうな30代ぐらいの男性だ。ボロボロであちらこちらから血が出ており左足は通常じゃあり得ない方向に曲がっている。
息はある。よし、助かるぞ!
「お父さん!! お父さん!!」
「……リナ……何でここに……」
リナちゃんはグロテスクと言って差し支えない状態の父親を見て泣き叫んでいる。
「大丈夫だ。ちょっと離れてな」
泣き叫ぶリナちゃんを一時的に引き剥がし、俺は〝回復魔法〟をボワァっと使う。
チャッチャラーとリナちゃんとリナちゃんの父親は目を見開き、クレハはホッとした様子で俺を見ている。
「痛みが引いていく。お、俺は助かったのか?」
「傷は治した。もし何処か痛い所があれば言いな」
よく生きてた。あの状態なら大半のやつは諦める。
「お父さん!」
ボフッとリナちゃんは父親に抱きつく「リナ、リナ、ありがとう」と何度も言うリナちゃんの父親は涙を流し、小さなリナちゃんの身体を抱き締める。
(──良かったな、間に合って)
命を救ったのはリナちゃんの懸命な行動あってこそだ。少なくともリナちゃんがギルド前でああやって大声で助けを求めてなきゃ俺も気づかなかった。
クレハとチャッチャラーも一件落着とばかりに笑ってるが──さて、次の行動だ。時間は無いぞ。
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