第384話 スノーワイト
──雪の街〝スノーワイト〟
その名前のとおり、雪で覆われた街だ。
街に入るとハラハラと小降りだが雪が降っている。
雪は結構積もってるな。屋根には30cm程度の積雪が確認できる。大通りは綺麗に除雪されているが、道の端の方には段々と雪が大量に盛ってある。
「息が白いな」
「本当だ。う、寒い。コート着よ」
ドイツ軍のような大きなリュックから、首元がもふもふ仕様の黒のコートを取り出して着るクレハはすっかり冬モードだ。うん、似合ってる。
(俺も着るか、寒むいし)
と、俺が取り出したのはフォルタニアと〝シルフディート〟の帰り道に買った、黒い羽織と赤いマフラーだ──これがあるのと無いのじゃ暖かさが全然違う。
黒の着流しに黒の羽織、そして赤いマフラーの格好のザ・和服な格好の俺は、童話チック雰囲気のスノーワイトの街からは少し浮いている。
まあ、これも一興かと思えば開き直りもできる。
『ねーねー、あの人、変だよ?』
『しっ、見ちゃいけません』
ぐらいの注目は覚悟しよう。
「──さて、気を取り直して、折角の新しい街だ。見て回るぞ、食材の調達もしたいな。何があるかな」
「この街は食材はあまり豊富じゃないかな。燻製とかそう言うのが主流だし。他はリンゴと川ブリかな」
川ブリ、ブリか。川と頭に付いているから川に住んでる魚なのだろう。鍋にするか。
「ブリ、買いにいこうぜ! 今日は鍋にしよう!」
「すきやきもお鍋だったから、今日もじゃない? でも私は大賛成、出汁のスープが飲めるね」
クレハは早くも出汁の概念が根付いてきたみたいだ。いやぁ、嬉しいね。出汁の異世界布教の第一歩。
ハラハラと舞う雪の中、街の中心部へ向かうと──
──時計台!?
元いた世界にもあった、世界一有名な時計台にも負けず劣らずの茶色の時計台があった。
その下の道には人が賑やかにごった返している。
と、よく見るとシルクハットの英国紳士風の人物。まあこれは良しとしよう──
問題はこの寒いのに上はタンクトップ1枚の鳥人族のマッチョの男性。そして上手く隠してはいるが、茶色のローブの暗殺者のエルフがいた。
そして極めつけは……セーラー服。セーラー服を着た奴がいる。異世界にセーラー服あるのかよ!?
セーラー服かそれ? って、質問してみようかと思ったが止めといた。何故ならセーラー服を着た人物は猫耳を生やした猫人族の男性しかもマッチョな身体にサングラスと言う得体の知れない奴だったからだ。
童話チックな街だから俺は浮くかと思ったが、
あれ? 意外と俺も目立たないんじゃないか?
浮いた格好の奴、結構いるし。
少なくともセーラー服にサングラスの猫耳マッチョよりは浮いていないと願いたい。
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