第383話 食後の運動と雪降る街
*
三十分程で風呂から上がったクレハは大変満足そうだった。首からタオルを下げ、髪を拭いている。
「どうだった? 湯船は?」
「凄い、凄いよ! 何て言うか1日の疲れが全部取れる感じで、完璧だよ。それに冬にはこれだね!」
「だろ? まだ冬じゃないけどな」
クレハの反応に満足の俺は自分も一風呂浴びに行く。何か久々の気分だな。
元いた世界では毎日入ってたのに。
檜の香りがいいぜ。
たっぷり三十分、久々の湯船を俺は堪能した。
孤児院のチビ共に貰った旅館の浴衣みたいな黒い寝巻きに着替えた俺が風呂から出ると、クレハが夕飯の支度をしていた。まあ、材料は俺が風呂に入る前にクレハに渡しておいた物だけど。
その日の夕飯は、大あさりのクラムチャウダー、丸んまるじゃがいもと空豚のベーコンの塩コショウ焼き、三日月キャベツの千切りと水豚のハムだった。
──夕飯を食べ終わると一息つく。
「ふぅ、美味しかった。ご馳走さまでした」
「ご馳走さま──んっ、結界に何か当たったな?」
山の中に取り出した家をぐるりと囲うように張った強めの円状の結界に今しがた何かがぶつかってきた。
外に出てみると。ガスガス、ドンドン。馬鹿みたいに真っ直ぐ結界に斧を振り下ろす影があった──
「わ、ミノタウロス!?」
「ミノタウロスだな」
右手に棍棒、左手には斧を持っている。
4mぐらいの中型の魔物。ミノタウロスだ。飯の香りに引き寄せられてきたか? いやそれは無いか。
「丁度いい、食後の運動だ──」
俺はミノタウロスにダッシュ。ザグリと〝アイテムストレージ〟から取り出した〝月夜〟でミノタウロスの足の腱を斬る。
ガクリと体制を崩したミノタウロスの胴体を真っ二つに斬った。お馴染みのラグみたいなのが発生し、ドロップアイテムを残して消える。少し物足りないな。
食後の運動としては些か物足りなさを感じつつ、俺は〝アイテムストレージ〟に月夜とドロップアイテムを仕舞う。
「この結界があれば夜も本当に安心だね」
「ハハッ、だろ? 寝不足は勘弁だからな」
家の中に戻る。少し夜が冷えてきたな。
相変わらず異世界の空に浮かぶ月は綺麗だが。
*
──翌日。
俺たちはスノーワイトの街を目指し歩き続ける。
魔物も出た。それらを倒しながら俺たちは進む。
元いた世界でなら人気の観光地になりそうな60mはあるであろう大岩で休憩を取ったりした。
そうして、近道……というか、道なき道(谷とか、大河とか)を通り、歩き続けること3日──
「──は? なんだありゃ!?」
街だ、街がある。それは分かるのだが……
まるで何かで敷き入られたかのようにスノーワイトの街にだけ雪が降っている。雪と青空の境界線。ゲリラ豪雨を遠くから見た、カーテンで仕切られたような、あの景色とそっくりだ。それの雪バージョン、そんな不思議な街であった──
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