第381話 炬燵とみかんと暖炉
「雪の街か、楽しみだな」
「ユキマサ君、雪好きなの?」
隣を歩くクレハが興味あり気に聞いてくる。
「雪は好きだ。寒いのは嫌いだがな」
「? 矛盾してない?」
「まあな、我ながら矛盾してる自覚はある」
クレハが「あ、リュックありがとう。私、もう自分で背負うよ」と言ってくるので、俺は預かっていた巨大リュックを〝アイテムストレージ〟から取り出し渡す。
「あ、ごめん。続き、聞かせて?」
「ああ、雪は好きだ。綺麗だし楽しいからな」
「私も好きかな。綺麗だよね」
小さい頃、よく遊んだなとクレハは笑う。
「でも、寒いのは嫌いだ。理由はまんま寒いからな」
「うーん、難しいところだよね。朝とか寒いと起きたくなくなるし。布団から出たくないよ冬は」
真面目なクレハでもあるんだな。
布団から出たくなくなること。俺は毎日だけど。
「でも、寒い所で暖を取るのは好きだ。冬の寒い日に炬燵や鍋、ストーブで暖を取るのが好きだ」
懐かしいな。冬になると婆ちゃんが手編みのマフラーを編んでくれて。母さんが炬燵とみかんを出して。
皆で鍋を囲んで糞爺と親父はやんややんやと酒を飲んで。理沙は『グルメ寒そう』とか言って自動ロボット掃除機のルンパを炬燵にそっと入れてたな。幼い頃のそんな光景を俺を俺はよく覚えている。
「こたつ……? っていうのは知らないけど、暖炉やお鍋とかで暖まるのは私も好きだな」
「炬燵を知らないのか? つくづく異世界には俺の好きな文化が浸透してないな。まあ伝承者になるのも悪くないが」
「ユキマサ君の世界の文化か。興味あるなぁ」
じーっとクレハは俺をみる。
続きの話を期待しているのだろう。
「炬燵は俺の居た世界ってより、俺の居た国だな」
逆に日本には暖炉とか一般家庭にはあまり無いしな。別荘地の別荘にならチラホラとあったりするが。
「炬燵、今度作ってみるか?」
「え? 作れるの?」
「炭炬燵ならな。まあまだ先っぽいが」
炬燵を出すにはまだ早い。夜は少し冷えるがな。
まあ、異世界で炬燵ってのも中々にシュールだな。
みかんはミリアに貰った辻みかんってのがあるが。
「スノーワイトに入れば暖房器具は必須だと思うよ」
「そんな寒いのか?」
今の気温からは考えられんな。
夕暮れ前だが外気温は体感で20℃はある。
「何て言うかな、その街だけ冬なんだよね」
「?? どういうことだ?」
「見て貰った方が早いかな。口だと説明しづらいし」
まあ、そういう場所もあるだろう。雪の街──早く見てみたいな。つーか、そう、こういうのだよ!
こう、異世界は冒険と不思議に満ちてなきゃな!
(わくわくして来たな。いいねぇ、異世界──)
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