第380話 次の街へ
「お婆ちゃん、次の街に着いたら診療所にいきますからね」
「これぐらい大丈夫だよ」
「ダメです。私のせいで何かあれば寝覚めが悪くなりますから、これは私の為でもあります」
安眠は大切です。睡眠は私にとっては数少ない娯楽の一つです。基本的にお金もかかりませんし。
冬の睡眠は寒くて好きかと聞かれれば微妙ですが。
竜車は驚くほど早く再出発しました。
運転手も無傷、他の乗客にも怪我と言った怪我は無く、一番の負傷者はおばあちゃんでした。
そのお婆ちゃんも今は打撲程度で済んでいる様子ですが、年が年ですしちゃんと診療所で診て貰います。
それにしてもユキマサさんの書状に救われるとは夢にも思いませんでした。少しご都合主義な展開にも思いますが、ご都合主義、万々歳です。最高です。
お陰様で何の苦も無く私は助かったのですから。
アーメジスト山脈を抜けるまでは、まだ時間がかかります。幸いお婆ちゃんも今の所は怪我は大したこと無いと言っても差し支えない部類らしく一安心です。
てんやわんやの1日となりましたが、改めて私は〝大都市エルクステン〟へと向かいます。
──どうか、無事に着けますように。
もう盗賊は勘弁ですよ? いえ本当に冗談ではなく。まあまた出たらユキマサさんの書状大先生様に再度おいで願うのですが。ええ、使いますとも。使えるものは有効活用するのが私の流儀です。
*
〝仙極〟を撒いた俺は2時間ほど移動した水辺の辺りで、漸くクレハを下ろし、少しばかりの休憩を取る。
全力で走り、谷を越え、大河を渡り、これでもかとジグザグジグザグと追いかけずらく逃げてきたんだ。
そう易々とは追い付かれはしないだろう。
「やっと撒いたか、あの坊さん、厄介だぞ?」
「〝仙極〟は生真面目な人って聞いてるよ」
「油断もしねぇし隙も見せなかった。寧ろ随分と評価高く警戒されていた気分だ……」
舐めてかかって来てくれたらどれほど楽だったか。
この世界で会った人間の中じゃ、トップスリーに入るな、あの坊さんは。
「つーか、ここ何処だ? クレハ分かるか?」
「えーっと……何処だろう。一応西に来てるはずだから、進んでいけば次の街は恐らく〝雪の街スノーワイト〟な筈──間違ってたらごめん、多分だから!」
「十分だ、その街を目指そう」
凄いなクレハは地図も無しに街を案内ができるんだからな──てか、異世界は街、つーか、国はどの程度あるんだろうな?
魔王領とかいうのもあるらしいし、人類がどの程度の領土を保持しているのかも私的には気になる所だ。
「うん? おい、今雪の街って言ったか?」
「うん。あの街は一年中雪が降ってるんだ──」
★★★★★★作者からのお願い★★★★★★
作品を読んで下さり本当にありがとうございます!
・面白い
・続きが気になる
・異世界が好きだ
などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!
(また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)
★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!
長々と失礼しました!
何卒よろしくお願いします!




