第371話 定員オーバー
「ユキマサ君、今日はどんな異世界料理を作るの?」
クレハに取っての異世界料理は日本の料理だ。
みそ汁、豚汁、すきやき──
俺が振る舞ったのはその辺りだ。
「いや、今日は世界共通料理だよ。焼くだけだしな」
「ユキマサさん、焼き肉ですか!」
「うーん、おしい。正確にはステーキだな」
シナノには俺が指名手配犯だと知っても憲兵に付き出さないどころか、今までと何一つ態度すら変えない心意気に、礼ってワケじゃないが、この世界では高級食材に指定されているらしい、大猪の肉を振る舞おう。
ちなみにミリアとの約束の分は別に取ってある。
まあ、別途に取っておかなくても博物館のマンモスみたいな大きさだったから、普通に食べきれないぐらい大猪の肉はあるんけど一応な? 約束だし。
「ちなみに肉は大猪の肉だ。食ったことあるか?」
「ぶっ、ちょ、高級食材じゃないですか!」
「らしいな?」
「食べたことあると思いますか? 破産しますよ私」
「どうする、食べるか? 嫌なら止めるが」
「食べます! 食べるに決まってるじゃないですか」
キリッと目を輝かせるシナノ。
「はいよ、大盛りでいいか?」
「超大盛りでお願いします!」
「クレハはどうする?」
「じゃあ、私は大盛りで……って、いいのかな? 私まで毎回こんな贅沢して何か罰が当たりそう。何もしてないし、これじゃただの大飯食らいの役立たずだよ」
「いや、クレハは旅について来てくれてるだろ? それが俺がどれほどありがたいか……せめてクレハの衣食住は俺が持つ。クレハがこれから何もしなくてもだ」
「あ、ありがとう……でも、私も何か役に立つ事をするよ! 私だってユキマサ君の力になりたい!」
「一緒に居てくれるだけで本当に十分なんだけどな。でも、期待はしてる」
クレハが居なかったら異世界で指名手配ボッチ旅。
〝ヒトリ人間コンテスト〟なる、ボッチによる、ボッチの為のボッチのコンテストがあれば俺は優勝を狙えるだろう。
何せ時空を越えて異世界ボッチだったんだからな。
「凄いです。養い宣言です……見ず知らずの人なら怪しいし、いやらしそうだし、他云々の理由で断固拒否ですが、ユキマサさんなら別です。ついでに私の事も養いませんか? 一緒の布団で寝るぐらいの事はしてあげますよ? 衣食住を私にも是非お願いします!」
目を輝かせ、声のトーンも真面目や真面目、大真面目のシナノは、ここぞとばかりに話かけて来る。
「悪い、定員オーバーだ」
「空きができたり、増員の予定があれば連絡もらえますか?」
諦めないシナノ。
つーか、何だよ養い人のキャンセル待ちって。
「頭の隅には覚えておくよ。よし、料理始めるぞ」
ガードが固いです。と愚痴るシナノはサラダ担当。
その隣で米を研ぎ、スープ用の野菜を細かく切るのはクレハだ。こいつナイフの扱い上手いんだよな。
普通にプロレベル。牧野といい勝負ができるな。
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