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第36話 お泊まり会2



 ──どうしてこうなった……?


 今、俺はクレハのベッドで横になっている。


 一先(ひとま)ず、これは良しとしよう。


 俺の左隣にクレハが寝ており。そして、右隣にはエメレアが寝ているという。所謂(いわゆる)()()()()の状態だ。


 先程、どう寝るかと言う話になり──

 俺が床で寝ると言ったのだが、エメレアが『はぁ? それだとクレハが気にするでしょ!』と、まさかのエメレアが俺が床で寝るのを拒んだ。


 まあ、理由は『クレハが気にするでしょ!』と言う事なので、エメレアらしいと言えば、エメレアらしい理由なのだが。


 どうやらエメレア的には〝俺への嫌いさ〟よりも〝クレハへの気持ち〟のが優先順位が上らしい。


 そして、何故かクレハは『ユキマサ君は……私の隣で……寝てほしいかな……』と言い始めた。

 勿論、エメレアは『危険よ!』と止めたが、これまた何故か、クレハが粘り、エメレアが押され始める。


 そして結局どうなったかというと……


「わ、分かったわ。なら、ユキマサを真ん中にして、3人で寝ましょう……それなら私も〝黒い変態〟を見張れるし……クレハの希望も叶うわ……」


 という案が採用され、今に至るのである──。



「ユキマサ……もしクレハに何か変な事をしたら、明日の……いえ、今後の朝日は拝めないと思いなさい」


 こちらに〝魔力銃〟を向けながら、にっこりと微笑むエメレアは、遠回しに死刑宣告をしてくる。


「てか、お前〝魔力銃〟持ってたのか?」


 俺のとは違うやつみたいだが……何となく、エルフって〝弓〟とか〝魔法〟とかで戦うイメージが強いんだよな? 漫画の読みすぎか?


「何で()()なのよ? 私だって、魔法以外にも〝銃〟や〝弓〟や〝剣〟とか、それなりに訓練受けているわよ。何なら、試しに貴方の頭を、()って、()って、()り込んであげましょうか?」


「……遠慮しとくに決まってるだろ」


 こいつ、試しで俺の頭を三回も攻撃する気か?


 しかも、最後は斬ってじゃなくて、()()()()()だし、トドメ刺す気マンマンじゃねぇか。


 すると、左隣で寝転がるクレハが、


「でも、流石に3人で寝ると少し狭いね。私とエメレアちゃんとミリアの時は、ちょうどよかったけど」


 と、話して来るが、エメレアみたく、嫌そうな顔をしないでくれるので、精神的に凄く助かる。


 それに3人で寝れるは寝れるのだが──

 勿論、くっついて寝るわけでは無いので、俺と、クレハやエメレアは、少しずつ間隔を空けて寝ている……

 それでも、少し手を伸ばせば触れてしまう程の距離だ。この少しの隙間も、狭いなと、感じてしまう要因の一つだろう。


「……そうね。ユキマサ、貴方、ちょっと横に縮みなさいよ? クレハが困ってるじゃない!」

「横に縮めって何だよ? そんなことできるわけ……いや、ミリ単位ならできるか?」


「いやいや、縮まなくて大丈夫だから。エメレアちゃんも、ユキマサ君にあまり無茶を言わないの」

 と、冷静な突っ込みと、お叱りをクレハに言われ、

「うぅ……わ、分かったわ……」

 クレハに注意されると、相変わらず()()に従うエメレアは、少し大人しくなる。


「ユキマサ君……も、もう少しそっち寄ってもいい?」

「俺は勿論構わないが。悪い、そんな狭かったか?」


「ううん……そ、そういうわけじゃないんだけど……」


 と、言いながら『よ……よしッ……』と何やら少し気合いを入れるような動作をした後、クレハはこちらに少し寄ってくる。


 ……と言うか、元々かなり近い距離だったので──最早クレハは、俺の左腕に軽く抱きつく形になる。


「こ、これはその……だ……ダメだった?」


 耳まで顔を真っ赤にしたクレハが、恐る恐ると言った感じで聞いてくる。


 それがまた反則級に可愛いので、俺は反応に困る。


「いや、ダメじゃないが……」

「わ、わわわわ……私のクレハが………」


 右隣からは、エメレアの断末魔と呪詛が聞こえる。


 すると……

 

 がしッ!!


 今度は、エメレアが右腕に抱きついてくる──


(……まさか、自爆か!?)


 と、俺はわりとガチで考えたが……


「これって……もしかして……クレハと間接ハグ? でも、ユキマサ越しってのは……かなり(しゃく)ね……」


 エメレアは、少し赤らめた顔で、嬉しさと嫌悪感の混じった不思議な表情で、小さく呟いている。

 

 エメレアは……もう、ダメかもしれない……


 ……何だよ、間接ハグって?


 俺越しなのは癪には触るらしいが、思いの(ほか)、嬉しそうな様子で呟き、俺から腕を離そうとしないエメレアは、本当にクレハが大好きなんだなと思う。


(というか──ヤバイな、色々ヤバイ。昨日もそうだが……何で、女子ってのは、こんなに色々と柔らかくてイイ匂いすんだよ!?)


 クレハからも何やら凄く柔らかいものが腕に当たってるし、エメレアの()()()から見た感じよりも、大きい凄く柔らかいものも腕に当たっている。


「む……エメレアちゃん……」


 何やら少しムスッしているクレハは『う……でも、エメレアちゃんなら……多少は……』と呟やきながら、何故かクレハが、もう少し俺の方に近づいて来て、掴んでる俺の左腕を更に少し強く握る。


「……それにしてもユキマサの匂いがするわね。どうにかしなさい……寝れないじゃない!」


 クンクンと、エメレアは俺の匂いを嗅ぎながら、またもや無茶ぶりをしてくる。


「そりゃ悪かったな。シャワーはちゃんと浴びたぞ?」

「わ、私はユキマサ君の匂い嫌いじゃないよ? むしろ……好きかも……べ、別に変な意味じゃないよ!」


 と、先程から、やたらフォローをしてくれるクレハに、俺は改めて感謝をする。


「う、クレハがそう言うなら……じゃあ……私も好きよ……ユキマサ、後でその匂いのコツを教えなさい!」


 だから、お前のその理論はどうなんだよ?


 それに何だ匂いのコツって? 

 香水じゃないんだぞ?


「俺からしてみれば、クレハやエメレアのが凄く良い匂いだけどな……」


 同じシャンプーや、石鹸を使ってる筈なのに、何でコイツらそれぞれ違った良い匂いすんだよ!?


「──ッ…///……あ、ありがとう」

「へ、変態……女(たら)し……ッ……!」


 真逆の感想のクレハとエメレア。


「も、もう寝るぞ? 明かり消すぞ?」


 この柔らかいし、良い匂いだしの状況下で、まともに寝れるか知らんが、とにかくもう寝よう……!


「あ、うん。じゃあ、明かり消すね。お休みなさい」


 と、クレハが、この異世界の電気の役割を担う──〝光の結晶(ルメン・クリュスタル)〟の明かりを消す。


 明かりを消したクレハは『へ、変な意味じゃないからね! 後……もし嫌だったら言ってね……』と言いながら、顔を赤くし、再び俺の左腕に抱きついてくる。


「……これは月明かりか? 明かるいんだな?」


 部屋の明かりを消しても、月明かりが、窓から差し込んでいて、結構部屋の中は明るい。普通に、隣のクレハやエメレアの顔ぐらいは、ハッキリと見える。


「うん、月だよ。曇ったりしてなければ、いつもこれぐらいは明るいよ?」


 どうやら、この異世界の夜の空に浮かぶ〝黄色い星〟の呼び名も〝月〟で間違いないらしい。


「『月明かりか?』って……貴方……まさか……月も知らない何て事は無いわよね?」

「……月ぐらい知ってる。朝は太陽だろ?」


「当たり前でしょ。他に何があるのよ?」


 よかった。呼び名は半信半疑だったが、異世界の空に浮かび、大地を照らす〝赤くて眩しい星〟の呼び名も〝太陽〟であってるらしい。


 月は〝元いた世界〟よりも〝異世界の月〟のが少し大きく明るいが、太陽はまんま一緒だな。


 ちなみに、俺が異世界から来た人間である事を知ってるクレハは、黙って俺とエメレアの話を聞いているが……


 じーっと俺を直視しており、その表情は〝異世界にも太陽と月あるの?〟みたいな感じで──〝話を聞いてみたい〟と言った、好奇心に満ちた顔をしている。


「というか、クレハは何かユキマサの秘密? みたいなの何か知ってるのよね……?」


 ここに来てサラッとエメレアは聞いてくる。


「えッ……えっと……それは……その……うん……」


 急に話しを振られたクレハは、分かりやすく狼狽えながら──ど、どうしよ……的な目線で、チラりと俺をみる。


「……クレハには〝秘密〟って程じゃ無いが、少し俺の経緯は話してある。それは、できればあまり広めてほしくは無いのは確かだ」


「そ……貴方の事はどうでもいいけど。もしそれで、クレハに迷惑がかかる事があれば、承知しないわよ?」

「ああ、分かってる」


 これは言われなくても、そのつもりだ。


「それともう1つ聞かせなさい。貴方、本当に色々と普通じゃないわ──ヒュドラの時や〝回復魔法〟の時とか……それにどうせ〝ユニークスキル〟とかもあるんでしょ? 少しぐらい、私にも説明しなさいよ?」 


 と、エメレアは少し布団を被り、何処か拗ねたような様子で質問してくるのだった──。




 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


・面白い

・続きが気になる

・異世界が好きだ


 などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!

 (また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


 長々と失礼しました!

 何卒よろしくお願いします!

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