第36話 お泊まり会2
──どうしてこうなった……?
今、俺はクレハのベッドで横になっている。
一先ず、これは良しとしよう。
俺の左隣にクレハが寝ており。そして、右隣にはエメレアが寝ているという。所謂、両手に花の状態だ。
先程、どう寝るかと言う話になり──
俺が床で寝ると言ったのだが、エメレアが『はぁ? それだとクレハが気にするでしょ!』と、まさかのエメレアが俺が床で寝るのを拒んだ。
まあ、理由は『クレハが気にするでしょ!』と言う事なので、エメレアらしいと言えば、エメレアらしい理由なのだが。
どうやらエメレア的には〝俺への嫌いさ〟よりも〝クレハへの気持ち〟のが優先順位が上らしい。
そして、何故かクレハは『ユキマサ君は……私の隣で……寝てほしいかな……』と言い始めた。
勿論、エメレアは『危険よ!』と止めたが、これまた何故か、クレハが粘り、エメレアが押され始める。
そして結局どうなったかというと……
「わ、分かったわ。なら、ユキマサを真ん中にして、3人で寝ましょう……それなら私も〝黒い変態〟を見張れるし……クレハの希望も叶うわ……」
という案が採用され、今に至るのである──。
*
「ユキマサ……もしクレハに何か変な事をしたら、明日の……いえ、今後の朝日は拝めないと思いなさい」
こちらに〝魔力銃〟を向けながら、にっこりと微笑むエメレアは、遠回しに死刑宣告をしてくる。
「てか、お前〝魔力銃〟持ってたのか?」
俺のとは違うやつみたいだが……何となく、エルフって〝弓〟とか〝魔法〟とかで戦うイメージが強いんだよな? 漫画の読みすぎか?
「何でそこなのよ? 私だって、魔法以外にも〝銃〟や〝弓〟や〝剣〟とか、それなりに訓練受けているわよ。何なら、試しに貴方の頭を、撃って、射って、斬り込んであげましょうか?」
「……遠慮しとくに決まってるだろ」
こいつ、試しで俺の頭を三回も攻撃する気か?
しかも、最後は斬ってじゃなくて、斬り込んでだし、トドメ刺す気マンマンじゃねぇか。
すると、左隣で寝転がるクレハが、
「でも、流石に3人で寝ると少し狭いね。私とエメレアちゃんとミリアの時は、ちょうどよかったけど」
と、話して来るが、エメレアみたく、嫌そうな顔をしないでくれるので、精神的に凄く助かる。
それに3人で寝れるは寝れるのだが──
勿論、くっついて寝るわけでは無いので、俺と、クレハやエメレアは、少しずつ間隔を空けて寝ている……
それでも、少し手を伸ばせば触れてしまう程の距離だ。この少しの隙間も、狭いなと、感じてしまう要因の一つだろう。
「……そうね。ユキマサ、貴方、ちょっと横に縮みなさいよ? クレハが困ってるじゃない!」
「横に縮めって何だよ? そんなことできるわけ……いや、ミリ単位ならできるか?」
「いやいや、縮まなくて大丈夫だから。エメレアちゃんも、ユキマサ君にあまり無茶を言わないの」
と、冷静な突っ込みと、お叱りをクレハに言われ、
「うぅ……わ、分かったわ……」
クレハに注意されると、相変わらず瞬時に従うエメレアは、少し大人しくなる。
「ユキマサ君……も、もう少しそっち寄ってもいい?」
「俺は勿論構わないが。悪い、そんな狭かったか?」
「ううん……そ、そういうわけじゃないんだけど……」
と、言いながら『よ……よしッ……』と何やら少し気合いを入れるような動作をした後、クレハはこちらに少し寄ってくる。
……と言うか、元々かなり近い距離だったので──最早クレハは、俺の左腕に軽く抱きつく形になる。
「こ、これはその……だ……ダメだった?」
耳まで顔を真っ赤にしたクレハが、恐る恐ると言った感じで聞いてくる。
それがまた反則級に可愛いので、俺は反応に困る。
「いや、ダメじゃないが……」
「わ、わわわわ……私のクレハが………」
右隣からは、エメレアの断末魔と呪詛が聞こえる。
すると……
がしッ!!
今度は、エメレアが右腕に抱きついてくる──
(……まさか、自爆か!?)
と、俺はわりとガチで考えたが……
「これって……もしかして……クレハと間接ハグ? でも、ユキマサ越しってのは……かなり癪ね……」
エメレアは、少し赤らめた顔で、嬉しさと嫌悪感の混じった不思議な表情で、小さく呟いている。
エメレアは……もう、ダメかもしれない……
……何だよ、間接ハグって?
俺越しなのは癪には触るらしいが、思いの外、嬉しそうな様子で呟き、俺から腕を離そうとしないエメレアは、本当にクレハが大好きなんだなと思う。
(というか──ヤバイな、色々ヤバイ。昨日もそうだが……何で、女子ってのは、こんなに色々と柔らかくてイイ匂いすんだよ!?)
クレハからも何やら凄く柔らかいものが腕に当たってるし、エメレアの服の上から見た感じよりも、大きい凄く柔らかいものも腕に当たっている。
「む……エメレアちゃん……」
何やら少しムスッしているクレハは『う……でも、エメレアちゃんなら……多少は……』と呟やきながら、何故かクレハが、もう少し俺の方に近づいて来て、掴んでる俺の左腕を更に少し強く握る。
「……それにしてもユキマサの匂いがするわね。どうにかしなさい……寝れないじゃない!」
クンクンと、エメレアは俺の匂いを嗅ぎながら、またもや無茶ぶりをしてくる。
「そりゃ悪かったな。シャワーはちゃんと浴びたぞ?」
「わ、私はユキマサ君の匂い嫌いじゃないよ? むしろ……好きかも……べ、別に変な意味じゃないよ!」
と、先程から、やたらフォローをしてくれるクレハに、俺は改めて感謝をする。
「う、クレハがそう言うなら……じゃあ……私も好きよ……ユキマサ、後でその匂いのコツを教えなさい!」
だから、お前のその理論はどうなんだよ?
それに何だ匂いのコツって?
香水じゃないんだぞ?
「俺からしてみれば、クレハやエメレアのが凄く良い匂いだけどな……」
同じシャンプーや、石鹸を使ってる筈なのに、何でコイツらそれぞれ違った良い匂いすんだよ!?
「──ッ…///……あ、ありがとう」
「へ、変態……女誑し……ッ……!」
真逆の感想のクレハとエメレア。
「も、もう寝るぞ? 明かり消すぞ?」
この柔らかいし、良い匂いだしの状況下で、まともに寝れるか知らんが、とにかくもう寝よう……!
「あ、うん。じゃあ、明かり消すね。お休みなさい」
と、クレハが、この異世界の電気の役割を担う──〝光の結晶〟の明かりを消す。
明かりを消したクレハは『へ、変な意味じゃないからね! 後……もし嫌だったら言ってね……』と言いながら、顔を赤くし、再び俺の左腕に抱きついてくる。
「……これは月明かりか? 明かるいんだな?」
部屋の明かりを消しても、月明かりが、窓から差し込んでいて、結構部屋の中は明るい。普通に、隣のクレハやエメレアの顔ぐらいは、ハッキリと見える。
「うん、月だよ。曇ったりしてなければ、いつもこれぐらいは明るいよ?」
どうやら、この異世界の夜の空に浮かぶ〝黄色い星〟の呼び名も〝月〟で間違いないらしい。
「『月明かりか?』って……貴方……まさか……月も知らない何て事は無いわよね?」
「……月ぐらい知ってる。朝は太陽だろ?」
「当たり前でしょ。他に何があるのよ?」
よかった。呼び名は半信半疑だったが、異世界の空に浮かび、大地を照らす〝赤くて眩しい星〟の呼び名も〝太陽〟であってるらしい。
月は〝元いた世界〟よりも〝異世界の月〟のが少し大きく明るいが、太陽はまんま一緒だな。
ちなみに、俺が異世界から来た人間である事を知ってるクレハは、黙って俺とエメレアの話を聞いているが……
じーっと俺を直視しており、その表情は〝異世界にも太陽と月あるの?〟みたいな感じで──〝話を聞いてみたい〟と言った、好奇心に満ちた顔をしている。
「というか、クレハは何かユキマサの秘密? みたいなの何か知ってるのよね……?」
ここに来てサラッとエメレアは聞いてくる。
「えッ……えっと……それは……その……うん……」
急に話しを振られたクレハは、分かりやすく狼狽えながら──ど、どうしよ……的な目線で、チラりと俺をみる。
「……クレハには〝秘密〟って程じゃ無いが、少し俺の経緯は話してある。それは、できればあまり広めてほしくは無いのは確かだ」
「そ……貴方の事はどうでもいいけど。もしそれで、クレハに迷惑がかかる事があれば、承知しないわよ?」
「ああ、分かってる」
これは言われなくても、そのつもりだ。
「それともう1つ聞かせなさい。貴方、本当に色々と普通じゃないわ──ヒュドラの時や〝回復魔法〟の時とか……それにどうせ〝ユニークスキル〟とかもあるんでしょ? 少しぐらい、私にも説明しなさいよ?」
と、エメレアは少し布団を被り、何処か拗ねたような様子で質問してくるのだった──。
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