第353話 シナノの家2
まず、包丁、まな板、鍋を取り出し、すき焼きを作る準備をする。水は折角だから湧き水を使おうと言う話になり、クレハが外に汲みに行ってくれている。
第一の食材は──昆布だ!
異世界で買ったから異世界昆布。
価格の割に品質が凄く良い。
出汁を取る文化が無いから安いのだろうか? この世界の昆布はサラダにするのが一般的らしい。
と、考えてる間にクレハが湧き水を汲んできた。
「水が良いと何でも美味くなるからな」
元いた世界でも、山のAランクの水とかでお茶や味噌汁作ると、同じ茶葉や味噌を使ってるのに格段に美味かったりするからな。最初はマジで驚いたよ。
で、昆布を投入っと。
「あ、昆布! 出汁を取るんだね!」
「正解だ。時間もあるし少し凝って行くぞ」
「うん、美味しいもの作ろ! シナノさんも喜んでくれるといいな。皆でごはん、楽しみだね!」
「だな。よし、このまま4時間!」
「え、4時間!?」
「良い出汁が出るにはそれなりに時間がいるんだよ」
つーか、4時間じゃ、かなり短い方だぞ?
一晩置いとくとかザラだし。
「ま、気長に行こうぜ。4時間ぐらい少しダベってれば直ぐだろ?」
「お話は私も嬉しいけど。出汁……奥が深いんだね」
うーむ、と、昆布の入った鍋を見つめるクレハ。
「でもその前に野菜を切るぞ、手伝ってくれ」
「あ、任せて。野菜、まず洗わなきゃだね」
俺が〝アイテムストレージ〟からドババっと、白菜、ネギ、椎茸、えのき、しらたき、豆腐を取り出す。
するとクレハが手際よく野菜類を洗ってくれる。
クレハが洗い終わった食材を──
白菜を適当なサイズに切り、ネギは斜め切り、椎茸は軸を切り落とし×に切り込みを入れる。
えのきは根本を切り落として、しらたきは食べやすい長さに切る。豆腐は小さく正方形に。
三人分ならこんなもんだろ。多いくらいだ。肉も食べきれないぐらいの量を買ってあるし、足らないって事は九分九厘無い。
「は……速い。でも、とっても綺麗。ユキマサ君、包丁も使えるの? そういえば剣はどこで習ったの?」
「包丁は慣れだな。剣の型は元いた世界で牧野って奴に叩き込まれた。その後、自己流で使いやすいようにアレンジして使ってる」
5.6歳の時に叩き込まれたからな。
基本は身体に染み付いちまってるよ。
野菜の下ごしらえも済んだ所で、俺達は家の中の地面に腰を下ろし、駄弁りながら、昆布出汁を待つ。
クレハも床が剥き出しの地面だとか、隙間風の入る板張りの壁とかも特に気にした様子は無い。
雨漏りは……うわ、しそう……しない方が可笑しいレベルだなこれ。めっちゃ失礼だけど!
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