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第333話 告げられる真実2



 ──大都市エルクステン

       料理屋・ハラゴシラエ──


 大きめの丸テーブルを囲むは、私とミリア、そして〝吟遊詩人(バラッド)〟のキサラギさん、エルバさん、エルセムさん、レイトさん、レベッカさんの合わせて7人だ。


 食事の注文を済ませ、料理が出てくるのを待つ。


 お腹が空いていた様子のミリアが、そわそわしながら〝吟遊詩人(バラッド)〟の皆がいるので、2kg(いつもの)で注文するか凄く悩んでいたが私が「大丈夫よ、気にせず食べなさい」と言うと、嬉しそうに顔を明るくし「うん!」と言ってくれた。


「ミリアちゃん、たくさん食べるのね。トアを思い出すわ、トアも凄く食べる人だったから」


 そうミリアに話しかけたのは、おっとりとした長い黒髪のレベッカさんだ。

 微笑ましそうにミリアを見ている。


「は、はい。いっぱい食べます。すいません」

「ごめんなさい。謝らないでいいのよ、私は感心してるんだから。いっぱい食べることはいいことよ?」


 優しく笑うレベッカさんにミリアは「あ、ありがとうございます」と、恥ずかしそうに返す。


「エメレアちゃん、私たちから貴方に伝えなきゃいけないことがあるの、聞いてくれる?」


 キサラギさんが真剣な目で話を切り出す。


「はい、何ですか?」


 キサラギさんは目線(アイコンタクト)で皆に一瞥した後、ゆっくりと口を開く──


「エメレアちゃん、殺された貴方のお兄さんの遺体の話しなのだけど──今、何処にあるか分かる? ごめんね。嫌だったら直ぐに話を止めて」


 ──ッ!?

 不意打ちだった。私の動きが少し止まる。


「わ、分からないです。処刑された兄さんのその後のことは何も知りません……」


 処刑されたと言う言葉を聞いて、ミリアがビックリして、心配そうな悲しそうな、そんな顔をしている。


「そう、実はね。エメレアちゃんと別れた後に私たちね、取り返しに行ったの。エメレアちゃんのお兄さんの遺体を。勿論、一悶着あったけど、思ってたよりスムーズに事が運んだわ。遺体は火葬して持ち帰った」


「に、兄さんの遺体を……今、それはどこに!?」


 諦めていた兄さんの遺体──

 その手がかりが、10年の時を経て今、掴めた。


「結論から言うね〝ルスサルペの街〟の共同墓地に埋葬されているわ──10年前、この街の孤児院とかもあたって、エメレアちゃんを探したんだけど、見つからなくて、勝手してごめんね」


「──ほ、本当ですか!!」


 思わず私は立ち上がる。

 私の人生にずっと残ると思ってた心残り。

 兄さんの遺体の行方が分かったのだ。


 こくりとゆっくりとキサラギさんは頷いた。

 周りの皆も頷いてくれたり、グーと親指を立てたりしてくれるエルセムさんの姿もあった。


「よければ、明日にでも案内するわ」


 ポロポロと涙が溢れてくる。


「お願いします! 兄さんに手を合わせたいです」


 今でも昨日のことのように覚えている兄さんの姿を思いだしてしまい、勝手に涙が出て来て止まらない。


 一頻(ひとしき)り泣いたあと少し落ち着くと、兄さんに、また会えるような、そんな気持ちになると、色んな気持ちが込み上げて来て泣き虫な私はまた泣いてしまった。

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