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第325話 エメラルドの約束24



 *


「──さぁ、エメレアさん、着いたよ! ここが〝大都市エルクステン〟だ!」


 大きな壁がぐるりと街を囲う、所謂──城塞都市だ。竜車で門を(くぐ)ると、また〝ステータス画面〟の提示があったけど特に難なく事は終えた。


 門を潜ると、真っ先に王宮のような建物が目に入る。うっ、やだなぁ。王宮は嫌いだ。


「あ、あれがこの都市のギルドだよ」


 リーダーさんが指を差すのは、今まさに私が嫌な顔をしながら見ていた王宮のような建物だ。

 ふぇぇ!? っと言う顔をする私を見て、クスクスと楽しそうにシュナさんが隣で笑っている。


「こうエメレアちゃんとトアと三人で並んでると、私とトアが夫婦に見えるかもしれませんね」

「いやいや、親子だろ? まだまだシュナに結婚は早いよ?」


「子供扱いしないでくださーい。それにトアには綺麗な奥さんも可愛いお子さんも居ますもんね。今度紹介してくださいよ? 特にお子さんを!」

「それは構わないけど──っと、そろそろギルドだね、竜車を止めるよ、皆、いいかい?」


 リーダーさんが荷台に乗る、皆に声をかけると「やっと着いたか」「ゲームは私の勝ち越しね」「畜生、またレベッカの1人勝ちかよ。ポーカー強すぎだろ!」と、返事(?)が返ってくる。


「大きい……」


 な、何なんだろう、ここは……

 ギルドってこんなに大きいのだろうか?


 夜だって言うのにとても賑やかだ。

 ひ、人が多い……何かのお祭りだろうか?


「人類最大のギルドだからね」

「エメレアちゃん、はぐれないように私と手繋ご」


「おーい、トア、依頼主ちゃんの送別会やろうぜ!」

「お、じゃあ、酒だな!」

「エメレアちゃんの送別会で何で酒なんですか!」

「私も飲もうかしら」


 賑やかだ、本当に賑やかだ。

 兄さんを失い、深く暗く沈みきっていた私にとってはこれぐらいがちょうどいいのかも知れない。


「よーし、目の前の料理屋にダッシュだ!」

「僕は賛成、お腹空いたし」


 エルセムさんにレイトさんがもう店に足を向ける。


「あー、コラ、ギルドに依頼完了の報告をしないと」

「そ、そうだ、リーダーさん、これ!」


 私は慌てて金貨を渡す。


「いいのかい? エメレアさん、依頼は成功で?」

「はい、ありがとうございました!」


 ゆっくりと金貨を受け取ったリーダーさんは「こちらこそありがとうございました!」と笑う──「あ、でも、送別会は出てね。費用も私たちの奢りだからそこら辺も心配しないで」と付け足しながら。


 ギルドの目の前にある料理屋さんに移動し、皆がここで私の送別会をやってくれることになった──


「「「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」」


 料理を囲み、飲み物を持つ。


「わ、ありがとうございます!」

「エメレアちゃん、遠慮せず食べてね!」


 シュナさんがホカホカしたエビの乗った黄色いお米の料理を渡してくれる。何て料理だろう。

 机にいっぱいの食事を皆で少しずつ分けて食べる。リーダーさん達はお酒も飲んでいた。


 そう言えば兄さんも、私の誕生日の日にだけ『今日は一年で一番素敵な日だから許してね』と言って、コップに一杯のお酒を楽しそうに飲んでいた。

 ああ……この場に兄さんがいたらどれほどよかったか……もしこの人たちにもっと早く合えれば、私も兄さんも生きる世界が変わったと思う。勿論、良い方に。


 今日は泣かない、絶対に泣かない。

 皆の好意にまた水を差してしまうから。


 私の人生の──兄さんとの最後の約束の『生きる』と言うことに対する、新な門出だから。

 涙は要らない、要らない筈なのに……


 ツー。


「エメレアちゃん? ど、どうしたの!! ま、また何か思い出しちゃった!? ど、どうしよう!?」


 違う、今は兄さんの事は我慢した。

 我慢した筈だ。何で私は泣いてるのだろう……


「……ありがとうございました……」


 ああ、分かった。分かってしまった。

 できれば、気づきたくなかった。


 私はこの人たちと別れたくないのだ。


 もう出会え無いよ、こんな良い人たち。


「私、楽しかったです。皆さんに会えて──!」


 ぎゅっ。

 シュナさんが私を抱き締める。


「私も楽しかったよ、エメレアちゃん、今度は依頼無しで、普通に私と一緒に旅に出たりしようね!」

「そうだぜ、嬢ちゃん」

「しばしのお別れですね、エメレアさん」

「あー、私、エメレアちゃん、妹に欲しいです!」


 温かい言葉が返ってくる。

 その日は人生で2度目の満腹だった。


 送別会が終わると、近くの宿に泊まると言うことで私も同席した。シュナさんと一緒に寝た。

 後で聞いた話だけど、その日は私は夜泣きをしなかったという話をシュナさんに聞いた──


 ──翌日。

 朝早く、皆は故郷の村へと竜車で帰っていった〝吟遊詩人(バラッド)〟の皆がエルフの国から故郷の村までの帰る道中を、私は(つい)でに護衛して貰いながら一緒に乗せてきて貰った形だ。

 じゃないと3日間もの間を10人の護衛を雇って金貨1枚の料金など安すぎる話では無いのだ。


 シュナさん、エルセムさん、エルバさん、ライキさん、イグナスさん、レイトさん、ラグライファさん、レベッカさん、キサラギさん、リーダーさん。皆、良い人だったな。また会いたい。心からそう思える。


(あれ? リーダーさんの()()ってなんだっけ?)


 一番最初に会った時に聞いた筈だけど、私はどうしてもリーダーさんの名前を思い出せなかった──


 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


・面白い

・続きが気になる

・異世界が好きだ


 などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!

 (また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


 長々と失礼しました!

 何卒よろしくお願いします!

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