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第318話 エメラルドの約束17



 ──日が暮れた、その夜。


 見晴らしの良い、水辺の近くに竜車を止め、夜営をすることになった。


「依頼主ちゃん、今日は豚鹿(ぶたじか)のバーベキューだ、期待しな!」

「……え、あ、あの……」

「どうしたの? エメレアちゃん」


 シュナさんが私に問いかけてくる。


「え、えっと私、あんまりお金使えなくて。依頼料の金貨1枚が限界で……だから、食事は要らないです」


 シュナさんが驚いた顔をしている。


「エメレアさん、これは私たちからの食事のお誘いだよ。料理はいくら食べても私たちの奢りだ。だから安心して食べてくれて大丈夫だよ?」


 リーダーさんが優しく私にそう告げる。


 ……まだ私は皆に絶対の信頼は置いていない。

 甘い言葉で騙されて最終的には、やっぱりお金を取られるんじゃないか、そんな考えが頭を過る。


「そっか、大変だったんだね。あ、ごめんね。深くは聞かないよ? それとこれは1度返しておいた方が気が楽かもね」


 リーダーさんが私に渡したのは金貨1枚だ。

 ギルド経由で受け取った筈の依頼料だ。


「前払いで貰っていたけれども、成功報酬にしよう。無事に〝大都市エルクステン〟に着いたら、改めて金貨1枚を払ってほしい。追加料金は勿論、私たちから提供する水や食料の代金も一切要らないよ」


 優しい声と目だ。兄さんを思い出す。


「だから、エメレアさん。今だけは騙されたと思って一緒に食事をしてくれないかな?」

「エメレアちゃん、一緒に食べよ?」


 シュナさんも話しに入ってくる。


 私は小さくコクンと頷いた。

 言葉は出なかった。代わりに涙が出た。


 抱き締めてくれる、シュナさんの温もりが今の私には優しすぎた。私は更に泣いてしまった。


「エメレアさんの事はシュナにお願いしたほうが良さそうだね、頼めるかい?」

「はい、トア。任せてください、何か妹ができたみたいで私も嬉しいですから」


 一頻(ひとしき)り、泣いていると、どこからか、お肉の焼けるいい香りが鼻腔を(くすぐ)って来る。


「エメレアちゃん、お腹空かない?」

「……お腹……空きました……」


 ちょっぴり恥ずかしくて私は顔が赤くなる。

 兄さんが亡くなってからパン1つしか食べてない。


「おーい! 依頼主ちゃん、肉、焼けたぜー!」

「エルセム、だから声が大きいって」


 エルセムさんとリーダーさん、男の人は怖いけど、二人からは優しい兄さんと似た感じがした。


「エメレアちゃん、行こ?」

「あ、はい」


 この日、初めて食べた豚鹿の肉は、具体的な味は今はよく覚えてないけど、頬が落ちるほど美味しかったということだけは今でもよく覚えている。

 


 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


・面白い

・続きが気になる

・異世界が好きだ


 などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!

 (また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


 長々と失礼しました!

 何卒よろしくお願いします!

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