第312話 エメラルドの約束11
「分かりました、投降します」
兄さんは、この事が分かっていたかのように淡々と罪状を受け入れる。
「嫌! 兄さん、いかないで!!」
兄さんに思いっきり私は抱きつく。
「エメレア、少しばかりのお別れだね──」
「嫌だ、嫌だ、なら、私も兄さんと一緒に行く!」
そんな私たちに更なる最悪な言葉が告げられる。
「何か勘違いしているようだが、リョク・エルラルドは極刑により──死刑。後日、処刑とする」
なっ……と、流石の兄さんも顔を驚かせる。
「兄さん! 逃げよう! 早く!」
私は兄さんの手を引き、走りだそうとする。
「相手は国家だ。逃げられると思うか? 小さいの、共謀罪、犯人蔵匿罪って知ってるか? それが国家反逆犯を逃がしたとすれば小さいの、君も極刑だ──」
「ベガさん、この子は何の関係も罪もありません。私を連れていってください。この子は私の全てなのです。どうか、今のこの子の発言は見逃してください」
「分かった。聞かなかったことにする。それぐらいなら私の一存でどうにでもなることだからな」
感謝します。と、兄さんが頭を下げる。
「──エメレア、約束をしてくれるかい?」
「……な、何? 約束って?」
「生きておくれ、私の分も。ずっと」
「兄さんと一緒じゃないとヤダ……」
「お願いだ、エメレア、分かっておくれ。これからエメレアは何度も何度も傷ついて、何度も何度も泣くかもしれない、でも、必ず、必ずだ! その先には幸せがきっと待っている。だからその時まで生きておくれ。エメレア──私はエメレアに会えて幸せだった」
兄さんは笑った。私の大好きな笑みで。
「時間だ、リョク──行くぞ」
「やめろ! 私の兄さんを連れていくな!」
ベガに飛びかかる私、だがベガの軽く振るった手の甲であっさりと吹き飛ばされ、気を失う。
「エメレア! ──私の妹に手を出すな!」
「その目、それが貴方の本質か。嫌いじゃない。それに手加減はしている。今のも見なかった事にしよう」
「……すいません、取り乱しました。感謝します」
最後にこれだけ──と、リョクは気絶したエメレアを布団に寝かせ手を握り「またね、エメレア」と、それだけを言う。勿論、エメレアからの返事は無い。
*
──翌日。
私が目を覚ますと朝だった。
「兄さん!!」
飛び起きる。ズキンと頭が痛むがそんな事に構ってられない。
誰か、誰か、兄さんを助けて──
私は集落に走る。
「お願い、話を聞いて」
扉を叩くと出てきたのは、ゴミ当番を兄さんに押し付けていた、3人組の一人だ。
「あ? リョクの妹か」
「助けて、兄さんが連れてかれたの!」
「らしいな。あーあ、もっと金でも借りときゃよかったな。どうせ返す必要も無くなるんならな」
(このっ、コイツッ……!!)
殴り飛ばしてやりたい気持ちでいっぱいだが、
今は時間がない。次の家に助けを求めに行く──
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