表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
307/860

第306話 エメラルドの約束5



 地主さんの家に着いた。

 ちょっと古いけど……私の家よりは全然新しい、大きな立派な家だ。何度か兄さんとこうして野菜を運びに来たことがある。


 ノックをすると、数十秒後、ひょろっとした、髭の生えたエルフのおじさんが出てくる。


「こんにちは、リョクです。収穫した野菜を届けに来ました」

「ああ、リョクか。いつものね。そこ置いといて」


 気だるそうに地主は話す。

 私はこの人が嫌いだ。

 というか、リョク兄さんを見下す奴は嫌いだ。


「もうちょっと、生産量増やせないの? このままだと少し土地代を上げないといけなくなるよ?」


 ──なっ……!? これ以上、土地代をあげられたら私たちはやっていけない。今でもギリギリなのに。


「すいません。努力はしてみますが、厳しいかと」

「人でも雇えば? そうすれば生産量はあがるでしょ? そうしなよ?」


 このっ……! それじゃ赤字だ。

 畑をやらない方がマシになって来る。


(何も知らないくせに……)


「ま、味は多少はいいけどね」


 地主はトマトを無造作に一口(かじ)り、噛った半分以上残ってるトマトをポイッと()()()。捨てたのだ。


 カチンと来た。


「このっ──


 がし。

 兄さんに止められた。


「では、私たちはこの辺で失礼します」


 んー、んー! と、

 暴れる私を兄さんはまだ離さない。


 地主が見えなくなった辺りで、兄さんが(ようや)く私を離す。


「兄さん! あいつ、兄さんのトマトを捨てた!」

「そうだね。捨てたね」


「そうだねって……兄さんだって食べたかった筈なのに、兄さんは我慢したのに。それを──それを!」


 悔しい、ムカつく、悲しい……

 私の中でそんな感情が(うごめ)く。


「ありがとう。エメレア、私の代わりに怒ってくれたんだね。でもね、エメレア、私のことで感情的にならないでおくれ、怪我でもしたら大変だ」


 兄さんは優しく私を(しか)りつける。


「……考えとく」


 私は兄さんにバレないように泣いていた。

 悔しくてだ。目には大粒の涙が溜まっている。


「大事なことだから少しだけ私の話を聞いておくれ。エメレアお願いだから危険なことはしないで欲しい」

「……」


「私のことになるとエメレアは少し感情的になり過ぎる所があるからね。嬉しいけど、()()()()。小さな事でも事件に発展する可能性だってある。そういう可能性も頭で考えながら、エメレアは自分の身を守ることを第一に考えて行動しなさい──いいね?」


 優しい目の兄さん。兄さんだって辛い筈なのに。


「…………うん。分かった」


 私は渋々ながらに納得する。

 あの悪徳闇地主め、リョク兄さんに感謝しろ。



 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


・面白い

・続きが気になる

・異世界が好きだ


 などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!

 (また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


 長々と失礼しました!

 何卒よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ