第29話 宿探し
俺達がギルドマスター室を後にすると……
──時刻は、お昼過ぎという感じだった。
「……そ……それでさ……ユキマサ君……結局……エルルカさんの返事はどうするの? 私が聞いて良い事か分からないけど……どうするのか気になっちゃって……」
「どうするも何も……まあ、確かにエルルカは美人だし、性格も悪く無いが。でも、今の所、別に俺は、エルルカに、恋愛感情みたいなのは無いからな?」
それに嘘でも無いのだろうが……
エルルカがどこまで本気なのかも分からん。
それに俺は恋愛的な感情というのが。正直な話、どういう感じなのか……あまりよく分からない。
勿論、可愛いとか、美人だなとか思う事はある。
……だが、それと恋愛はまた別の話しだろう。
それに今まで同年代ぐらいで親しい女の子ってのが……〝元の世界〟の幼馴染みにして、兄妹みたいな存在である、理沙ぐらいしかいなかったからな?
理沙に関しても、小さい頃からずっと一緒だったから、やっぱり兄妹とか──それこそ家族とかそういう感覚のがしっくり来るしな。
だが、そういう昔からの付き合いで、兄妹みたいな感覚という目線から見ても、理沙はそこら辺のアイドル何かよりも、別格に可愛いと思う。
言い方は悪いが、理沙を見慣れてしまうと、他の女性を特別な感情でどうのという事も特に無かった。
(まあ、それでもエルルカは美人だと思うが……)
別に変に比べる気は無いが、エルルカは理沙とジャンルが違うが美人度はトップクラスだろう。
……それと何故だか知らんが、異世界には美女だとか美少女がかなり多い気がする。
〝異世界といえば、可愛い美少女や美女!〟
とか言う、ゲームや異世界系小説のお約束みたいな展開なのか、何なのかは知らないが……
──とにかく、この世界には美少女や美女が多い。
本物の女神様であるアルテナも、眩しいぐらいの超絶美人だったし。それに今まさに俺の隣を歩く、このクレハだって、超が付く程の美少女だからな。
「そ……そっか……うん……よ……よかったぁ……」
そう言うと、何故かホッとして、身体の力が抜けたクレハが、エメレアに軽く凭れかかる。
「く、クレハ……/// だ、だ、だ、大丈夫……!!」
「あ、ごめんね。エメレアちゃん重かったよね?」
慌ててクレハは体勢を正そうとするが……
「全っ然、大丈夫よ! むしろこのままでいいわ!」
と、エメレアに全力で阻止される。
「えーっと、あ、ありがとう? で、いいのかな?」
と、困惑するクレハがチラッと俺を見てくる。
(いや、俺に聞かれても困るぞ?)
エメレアは『余計なこと言うなよ?』的な目線を送ってくるが、まあ、エメレアがクレハやミリアにする事は、基本的に害は無いだろうからスルーしとくか。
「──ユキマサ君、この後はどうするの?」
クレハが凭れた身体を直しながら、聞いてくる。
クレハが離れてしまい、凄く残念がるエメレアがギロリ! と、俺を睨んで来るが、これもスルーだ。
「俺は今日の宿探しだな。クレハ達はどうすんだ? せっかくの休みなんだろ?」
「えーっとね。その事なんだけど……よかったらさ……ユキマサ君……う、家に一緒に住まない?」
──おい、エメレアが倒れたぞ。
それはもう見事なまでに、エメレアは、糸がぷつんと切れたような感じで、綺麗に地面へと倒れ込んだ。
そしてナイスキャッチのミリアちゃん!
倒れ込んだエメレアを、ミリアは「わわ、死なないで!」と慌てながらも、しっかりと支えている。
「クレハの家にか? 昨日は泊まらせてもらったが……流石に住むってのは、色々不味いんじゃないのか?」
「──だ、だから! 私はユキマサ君ならいいの!」
そんなクレハの真っ直ぐな視線と、言葉に、俺は少し面を喰らいながら……
「……じゃ、じゃあ、頼んでもいいか……?」
と、返事を返す。
「うん! じゃ、じゃあ、よろしくお願いします///」
先程から、顔が真っ赤の状態のクレハは、今度は急に恥ずかしくなって来たのか、少し目を逸らす。
「つーか、よろしくお願いするのは俺の方だぞ?」
「そ、そっか。じゃあ、よろしくお願いされます?」
『あ、確かに……』と言うと、クレハは直ぐに言葉を訂正し言い直す。
(何だ? やけに、そわそわしてるな?)
でも、そわそわしているが、クレハは何処か嬉しそうな様子だ。
「それに何だ『よろしくお願いされます』って? 初めて聞いたぞ? あ、でも、聞いたこと無いが、意味は分かるな……」
俺はクレハの『よろしくお願いされます』が妙にツボに入ってしまい、少し笑ってしまう。
「クレハ、どうしよう! エメレア息してないよ!」
涙目のミリアは、倒れたエメレアの口に、ポーションを何本も、ゴスゴスと容赦無く突き刺しながら、必死に回復魔法をエメレアに使っている。
──コイツはこの数秒で何やってんだ!?
(つーか、これマジで笑ってる場合じゃないぞ!)
「え、ちょっと待ってどういう事!? 何でエメレアちゃんが倒れてるの! しっかりして!」
わりと本気で、クレハは慌てて駆けよる。
そして必死の、ミリアの〝ポーション〟と〝回復魔法〟の処置と、クレハとミリアの決死の呼びかけが聞いたのか、ゆっくりとエメレアが目を覚ます。
「う……ミリア……? クレハ……?」
「エメレア……よかったぁ……!」
「よかった……お、驚かさないでよ……」
安堵の息をつくミリアとクレハ。
まあ、驚かしたのは、どちらかと言うとクレハの方な気もするが。
後10秒──目を覚まさなかったら、本気で俺がエメレアに〝回復魔法〟を使うハメになってたぞ?
「悪夢を見ていた気がするわ……」
凄く顔色の悪いエメレア
「どんな夢だったの?」
「クレハとユキマサが一緒に暮らす夢よ……」
「「「……」」」
「エメレアちゃん。あのね、ユキマサ君は私の家に住んで貰うことになったんだけど……?」
と、おそるおそるとクレハが告げると……
──きゅうん……ぱた……
エメレアは再び気を失う。
「エ、エメレアちゃん!!」
「え、エメレア!!」
……もう、どうしろってんだよ?
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