第294話 ノアの部屋5
「ロキ、俺は明日から少し旅に出る。これは元々決めていたことだ。いつとは明確には決めてなかったから、丁度いいキッカケって言えばキッカケだ──それとお前の謝罪を俺は受け入れるよ。全部許した。もうこれでいいだろ? あまり頭を下げすぎるな、価値が下がっちまうぞ? ギルドマスター?」
「──!? そんなあっさり……」
「それとも責められたいか? そんな趣味は第2王子のヴォロンだけでお腹いっぱいなんだがな?」
あのドMは中々にドMだったなぁ。
いや、中々にドMって──自分で言っといて、よく意味は分からないんだけど。でも、あいつはドMの中でも頭一つ抜けたドMだったと思う。
「ユキマサさん、必ず、必ずです。私は貴方の必要とするピンチの時に命に変えて、この恩をできる限り大きく何倍にもして返すことを誓います──」
「お? 倍返しか? それは期待しなきゃだな」
軽く俺は返したが、ロキは本気のようだ。
「つーか、まず俺がロキを頼るほどのピンチにならないことを祈ってほしいがな?」
「ふふ♪ ホントだ。そっちの方が幸せだね♪」
ノアはクスクスと可愛く笑っている。
「ええ、本当にそうだ。ユキマサさんには是非とも幸せになってほしい。これも私の勝手ですが、見てみたい。正義が、善人が心から笑う所を。お伽噺か何かのハッピーエンドを、この世界で──」
憂いを帯びた表情のロキは遠い目をする。
「……まあ、俺もお伽話しは好きだぜ? ベッタベタの展開のご都合主義なハッピーエンドも正直に言うと嫌いじゃない。胸糞バッドエンドよりは随分とマシだ」
ヤハハ、と俺は笑う。ロキの話に同意するかのように。自分が正義か悪か何てどうでもいいが──ハッピーエンド。いい言葉じゃねぇか、俺は好きだ。
「私も好きだよ、ハッピーエンド♪」
「私もです。ハハハ、これはいい! 同じ考えを持つ者が3名も集まるなんて、しかも〝大聖女〟に〝ギルドマスター〟そして〝魔王殺しの勇者〟偶然にしてはでき過ぎている──ここに是非ハッピーエンド同盟を組みましょう!」
軽く涙を流すロキは、俺とノアもハッピーエンドが好きというのが、本当に泣くほどに嬉しいらしい。
「いやいや、何だよ、ハッピーエンド同盟って? つーか、俺が入った時点でお前ら、立場的に不味いだろ?」
「まあ、バレなきゃ大丈夫かな♪」
「オイ、大聖女?」
「ふふ、私は参加しようかな♪ 誰かがピンチになったら助け合う。どんな事があってもバッドエンドに何てさせない、只々お伽噺のようなハッピーエンドを目指す、そんな同盟かな♪」
「具体的だな。まあ、俺も参加するか。少なくともこの3人が敵対するようなことは無くなるしな」
「おお! 決まりですね!」
「つーか〝魔王殺しの勇者〟ってのは俺か?」
「他に誰がいますか。これは貴方の功績ですよ」
「手配書だと〝国狩り〟ってなってたが?」
「公式では無いですが、ほぼ公式名になってしまってますね。そちらも撤回を求める次第です」
「無事ハッピーエンド同盟が可決されたってことで、盃とまではいかないけど、祝盃でもあげようか♪」
どこからともなく酒を出してきた、ノアがふふ♪ っと、笑う──って、え? 飲むの? 今から?
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