第287話 自由
「あ、それと、今日は泊まっていきなよ?」
「ここにか?」
「うん、嫌かな?」
「嫌じゃないけどいいのか?」
今の状況でクレハの家に戻るわけにいかないしな。正々堂々とギルドにも顔出せないし、宿も取れるか怪しい……あれ? 意外と俺追い詰められてないか?
「寝る所のアテもないでしょ? それにまさかユキマサ君が〝聖教会〟の私の部屋にいる何て誰も考えないよね。ふふ、何かイケないことしてるみたい♪」
「つーか、大聖女が男を部屋に泊めていいのかよ?」
「うん、普通ならダメかな。でも、私は自分のやりたいようにやるよ。まあ、後ろめたいことはしないけどね。もし結婚とかするなら堂々とする派かな♪」
「自由だなノアは? そういう所、好きだぜ」
「──あ、凄い♪ 今私ちょっとドキッとしたかも。あー、うん。いい、凄くいいよ♪ ふふ♪」
自由──いい言葉だと思う。
まあ、ルールは必要だと思うがな。
「ユキマサ君、心配?」
何が、とは聞かなかった。
「まあな、クレハの事とかな」
「下宿させて貰ってたんだよね。それで矛先がそっちに向かないか心配だと。まあそこら辺も私が可能な限りフォローしておくよ」
「マジか、すまん、本当に助かる」
何から何までやってくれるな。
いや、マジで助かる。本当に。
「そうだ、ユキマサ君、何か食べる?」
「腹か……そういや空いてたな」
腹って、どんな時でも空くんだな。
お尋ね者でも、そうじゃなくても関係ない。
「じゃあ、何か買ってくるね? お米でいいかな?」
「俺の好物知ってんのかよ? それで頼む」
「うん、了解♪ じゃあ、ちょっと行ってくるね」
と、ノアはそそくさと部屋を出ていく。
一人、ノアの部屋に残された俺はソファーの背凭れに体重をかけ、寄りかかる。
……明日には、この街ともお別れだな。
結構、気に入ってたんだけどな。
クレハ、怒ってるかな?
エメレアは……考えるまでもないか。
後悔はしてない。
反省はちょびっとしてる。
後、理沙にも怒られそうだな……
糞爺は笑ってくれそうだが。
*
──大都市エルクステン
ギルド・ギルド食堂──
山盛りのおにぎりを持ち帰りで持ち帰ったノアは、ギルド内がやけに騒がしいことに気付く。
持っていた、おにぎりを〝アイテムストレージ〟に仕舞い、騒ぎの場所へと足を運ぶ。
「どうしたの? エメレアさん、その怪我?」
「──!! の、ノアさ──」
ノアの手によりエメレアは口を塞がれる。
「今は白娘って呼んで欲しいかな?」
「し、白娘さん。何でここに」
「食堂で夕飯の買い物かな?」
大聖女でもギルドの食堂利用するんだ……
と、エメレアは思いながら、話を進める。
「あの、ミリアを診て貰えませんか!」
「背中のミリアちゃんか、脳震盪で気を失ってるだけだから安静にしておけば問題ないと思うよ? どちらかと言うと貴方のが重症──骨がボロボロだよ?」
「私はいいんです、ミリアが目を覚まさなくて」
「うーん。じゃあ、場所変えよっか──?」
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