第279話 帰路9
「お兄さんには、こちらの袴なんていかがですか?」
見せてきたのは、上が黒、下が白の袴だった。
「今なら赤と黒の市松模様のマフラーも付けます!」
市松模様、二色の色が正方形で交互に並べられたあの模様だ。それの赤と黒のスカーフを何処からか取り出し、黒髪少女店主はオマケでくれると言っている。
「嫌いじゃねぇが、どうすっかな?」
うるうる。泣き始める黒髪和服少女の店主。
いや泣き落としかよ。どんな店だ!
「分かった、それを貰おう。後、今着てる着流しに合う、羽織もくれ。ちょうど欲しかったんだ」
「ユキマサ様、でしたらこちらはどうですか? さっきから凄く似合うと思ってたんです」
横からフォルタニアが黒い羽織を渡してくれる。
「お、いいな。こういうシンプルのでいいんだよ。ナイスだ。これをくれ、全部でいくらだ?」
と、フォルタニアが選んでくれた羽織を即決していると、店主の黒髪ショートの簪店主が「少々お待ちくださいっ!」と、服の代金の計算をしている。
「お待たせしました。小金貨4枚と銀貨3枚ですが、小金貨4枚で大丈夫ですよ!」
「気前がいいな、値引いてくれんのか、ありがとよ」
ありがたく値引きに甘え、小金貨4枚を渡し、会計を済ます。
会計を終えると黒髪ショートの店員が服を包んでくれた。丁寧に包んでくれたのはありがたいが〝アイテムストレージ〟に仕舞うので、正直あまり必要度は低いんだよな……と、俺は苦笑いする。
でも、こういった丁寧な対応は嬉しい。ので、俺は包みのまま〝アイテムストレージ〟に仕舞う。
「ユキマサ様、よかったですね」
「ああ、フォルタニアのお陰だ。ありがとな」
「ん~! 同じく〝スイセン服〟が大好きな方に会えて私もとても嬉しいですっ! この度は本当にありがとうございました! また会えたら是非どこかで!」
露店屋として、各地を転々としているのだろう。簪和服少女は「また是非どこかで!」と名残惜しそうに声をかけてくる。
俺とフォルタニアは簪和服少女に礼を言い、手を振り返し、その場を後にする──
*
さて、第二ラウンドだ! 待ってろ、屋台っ!
意気込む俺は再び屋台通りに入っていく。
パスタ、シチュー、チーズフォンデュに始まり、日本の屋台でお馴染みのイカ焼き、お好み焼き、あんず飴等もあった。
伊勢海老より一回りも大きい、ドラゴロブスターなる異世界独自の姿焼きや、グラタン、どれもとても美味かった。
名前のよく分からない異世界独自の料理も沢山あった。つーか、異世界独自品の物のが圧倒的に多い。見たこと無い生物や野菜に魚介類に果物、目新しさもあり、とことん食が進んだ。
──結果、ざっと60品は食った。60品近くの料理をペロリと平然として平らげた俺の食べっぷりに、フォルタニアも最初はビックリしてたが「ふふ、美味しかったですか」と最後は優しく笑ってくれた。
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