第278話 帰路8
「お待たせしましたぁ」
クレープが渡される。1つはフォルタニアに、もう1つは俺にだ。
会計を済ませると近くのベンチに座る。
「すいません、また奢ってもらってしまって」
「気にすんな、それより早く食おうぜ?」
思いの外、ズッシリとしているクレープに視線を落とす──でも、とっても美味そうだ。
「はい! いただきます!」
早く食べたいと顔に書いてあるフォルタニアは、お行儀よく、小さな口で、はーむ、パクりと、クレープを口に運ぶと数秒後──
「ん~♪」
自然と笑みが溢れ、頬が緩む。
俺もフォルタニアに続き、クレープを食べる。
(──!! うっま!!)
何だこれ、生クリーム、生クリームが美味過ぎる。
濃厚かつ、コクの強さが尋常じゃない!
いくらでも食べられそうだ──
「どうですか?」
「超うめぇ、正直舐めてた。恐るべし異世界……」
「ふふ、チョコレートも絶品ですよ」
ミステリアスチョコレートをフォルタニアが口に運びながら言う。
てか、本当に美味しそうに食べるなぁ。
クレープを食べ終わると、食休みがてら、道を1つ外れて服や日用品雑貨等を売ってる通りに向かった。
まだ屋台を制覇してないじゃないかって?
いや、帰りに買うよ? 勿論、目指すは制覇だ。
「って、ギルドあんのか?」
歩いてると小さいがギルドを見つける。
「あ、はい。各街には大体、大なり小なりギルドはありますよ? 流石に〝大都市エルクステン〟のギルドには遠く及びませんが──」
まあ、今は特にギルドに用は無いので、この街のギルドは普通にスルーし、街の中の散策を優先する。
フォルタニアとあれやこれやと店を見て回ると、この街には少し異色な店……というか露店発見する。
そこは服屋だ。だが、その服屋は──
「和服? いや、この世界では確か〝スイセン服〟って呼ぶんだったか?」
〝スイセンの国〟とやらにも行ってみたかったが、昔の〝魔王戦争〟で滅びたらしいからな……
「い、いらっしゃいませー!!」
「お、おう……」
がしり、と手を握られる。
何だこの黒髪ショートの簪の和服少女は?
「お兄さん! その下に〝スイセン服〟を着てますね! 是非とも見てってください! なにせ、この街〝スイセン服〟の方が少なくて……」
もう見るだけでもいいので! と、懇願され、俺とフォルタニアは店を見ていく。まあ、正直言うと興味はある。よさそうなのあれば1着くらい買ってくか。
「和ふ……じゃなかった〝スイセン服〟はどんなのがあるんだ? できれば、黒色がいいんだが」
と、そんなに数は無い露店の売場を見てみると、一般的な和服から、袴、着流しに……焦茶色の軍服(?)まであるよ。つーか、何で軍服あるんだよ! コスプレか? いや、異世界にコスプレも何もないか。
軍服と言えば〝六魔導士〟のシラセが記憶に新しいが──まあ、今日は軍服はパスだな。うん。
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