第261話 十字架
「──流石に疲れたな? にしても……」
辺り一帯は焼け野原だった。件のウルスラもクレーターの中心にいるし、まだまだ問題は山積みだな。
俺はスキル──〝天眼〟を使う。
目を閉じ、シリュウを探し、辺りを捜索する。
高速で移動する人物が、1人.2人.3人、これは違うな。つーか、確か空飛んでた筈だから上空を探すか。
──空に一匹と一人、これか!
だが、次の瞬間──
はっ!? 消えた?
反応が消えたのだ、電源を切ったみたいにパッタリと。クソ、これじゃ追えんぞ!
クレハの〝空間移動〟と同じ類いの何かだ!
(逃げられたな、完全に……)
すると、空に巨大な物体が現れる。
あ? 十字架……? 十字架だな。うん。
空に現れたのは巨大な十字架だった。十字架を中心によく分からない文字のような紋様が浮かんでいる。
そんな様子を見ているとこちらに緑に光る、樹木の根のような物が伸びてくる。
先端には人が乗っており、声をかけてきた。
「──あなた、ウルスラを倒したの……!? 足止めだけで上々だと思っていたのに、流石に予想外だわ」
「火澄か……んな事より、あれは何だ?」
俺は火澄を横目に見ながら返事を返す。対する火澄は随分と驚いてる。
……というか、どちらかと言うと呆れた様子だ。
「んな事って……あれはシアナの封印魔法よ。貴方のお陰で大分楽に事が進みそうよ」
封印魔法──あれが……まあ『Q.あれは何でしょう?』と、聞かれたら『A.封印魔法』と言う答えが、この異世界でなら出ないことも無いかもしれない。
封印魔法が容赦なくウルスラの胴体を突き刺しに行く。するとウルスラが光りに包まれ、小さく、そして丸くなっていき──最後はピンポン玉ぐらいの大きさになって、ぐるぐると回って飛んでいった。
光る玉を目で追って行くと、あれ? 女王じゃん。
火澄の魔法であろう、同じく緑に光る樹木の根のような物に乗った女王と目が合う。
女王は光る玉(元ウルスラ)を鉄(?)で作られた小さな宝箱のような物に厳重にしまう。見た感じ魔法で更に封をしてるようだ。
「まさか、本当に倒すとはね。フォルタニアの言った通りになったわね」
「フォルタニアはそんなこと言ってたのか?」
「『ユキマサ様なら何とかしてくださる筈です』って、普段の私との会話じゃ、考えられないぐらいの声の張りと、興奮したような目だったわ」
「そうか。それとウルスラは封印できたって事でいいんだよな? そのピンポン玉サイズになったやつ」
「ええ、ウルスラが瀕死のお陰で楽にできたわ。随分と被害も出した見たいだけど?」
女王が〝世界樹〟や辺りの焼け野原となった森、ウルスラが開けたクレーターを見ながら俺をみてくる。
「……」
沈黙。ノーコメント、無視、スルー。
俺はどれを選べばいいのだろうか。
「で、あなたどうするの? かなり不味いことになってるわよ?」
「ん? というと?」
「この一件──
魔法信仰No.2シリュウ・ブラックと
竜殺しの黒い変態・稗月倖真
のW主犯でことが片付きそうよ?」
「待ちなさいシアナ? ウルスラを倒したのは彼よ? バカを言ってる時間はないわよ?」
「面倒な事に、ボルス・ハンジがユキマサを引っ捕らえろと煩いのよ。嫌になるわ、バカな権力者は」
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