第258話 黒vs黒6
「──GUGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
〝世界樹〟から、すっぽ抜けたウルスラが咆哮を上げる。相変わらず騒がしい声だ。大気が揺れてるぞ?
──ッ!! 何だ、樹木!?
いくつもの樹の根のような物が、蛇のように動き回り、空まで伸びてくる。
先端には袴姿の金髪セミロング髪のエルフがいる。
「〝世界樹〟に大穴をあけた、大馬鹿者は後にも先にも貴方だけでしょうね。花嫁泥棒さん?」
「……誰だ? それにその呼び方、王宮にはいなかったよな?」
十分過ぎる実力者だ。俺がフォルタニアを拐いに行った時、あの場にいれば確実に目立つ筈の人物だ。
「私は火澄、それに私を解き放ったのは貴方よ?」
「解き放った? 話が見えねぇんだが?」
何かを解き放った記憶は残念ながら無い。
「いや、お前──さっき〝世界樹〟から出てきた、緑の火の玉か? よく見ると気配がそっくりだ」
「あら、正解、よく分かったわね? 結構イジワルな言い回しをしてたと思うのだけど?」
この火澄と言う人物は不思議と嫌な感じが全くと言っていいほど微塵もしない。
まるで神秘的な森で森林浴でもしてるかのようにリラックスして会話ができ落ち着ける。そんな人物だ。
「自覚があるようで何よりだ」
「話してる暇も無いわね、来るわよ?」
その瞬間だ、ウルスラが吠えたのは──
「──GUGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
ッ!? 風!?
「竜巻、いえサイズ的には大竜巻かしらね……」
目に見える大竜巻は4つ。
空まで上る大竜巻がウルスラの前方に1つ。
左右に1つずつ。
そして少し離れた場所に1つ。
最後の離れた1つは集落の方へ向かってるな。ちなみに残りの3つは心なしか、俺を狙ってる気がする。
「集落の方に向かってるのを優先だな。あの竜巻1つあれば集落の一つや二つ簡単に吹き飛ぶ──」
「なら私が集落の方の竜巻を対処しようかしら?」
できるのか? とは、聞かない。
その心配は無さそうだからだ。
「頼めるか?」
「ええ、貴方こそ、残りの竜巻どころか、ウルスラ本体の相手よ? 今さらだけど大丈夫なの?」
「随分と破壊されちまってるが、強攻撃から国を守りながらだと少し面倒だな。オマケにウルスラの怪我の回復も速い、結構斬った筈だが、治り始めてる」
この世界の強キャラってのは、どいつもこいつも怪我の治りが早いな。
魔族に至っては頭割れても回復してきてたし。
「と言っても回復限界はあるわ、それにまだウルスラは本調子では無い、魔力の復活も不完全よ?」
「おいおい、まだ全力じゃないのか? あれは」
「攻撃の手を止めないことね、ダメージを与え続けなさい。ウルスラの回復力以上にね? それができれば、シアナが再封印してくれる筈よ。成功率は半々だけど?」
それでも50%かよ? 封印成功率!
「まあ、分かりやすくていい。とにかく、あのウナギ野郎が再生するより早く、斬り倒せばいいんだな?」
俺はまた剣を構える。ウルスラに向けて──。
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