第256話 黒vs黒4
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俺はウルスラを蹴った。ふんだんに魔力を強く込めた足で、雲スレスレの上空から斜め下にかけてだ。
ここまではいい。
問題はウルスラの落ちた方向にあった。
落下した、その先にあるのは、この国のシンボルとも呼べる超巨大植物である──そう〝世界樹〟だ。
俺が恐る恐るに様子を見に行くと……
──うわぉ……!!
ウルスラが斜めに〝世界樹〟に突き刺さっていた。
流石は500m級の超巨大樹、あの衝撃でも貫通はしていない。だが、樹の幹ド真ん中に半分以上、ウルスラが頭から突き刺さっている。
(くっ……俺的──〝ザ・異世界遺産〟の超代表格である〝世界樹〟が半壊しちまった……)
いやいや、流石に予想外、どうしよ。これ。
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しばし考えてると──〝世界樹〟の中から、ビュンッと、緑の光の玉みたいなのが飛んでいく。
なんだありゃ? 火の玉? 直感だが、嫌な感じはしないな、放っておいて大丈夫だろう。
ウルスラが〝世界樹〟に刺さっている間に、集落や森に降り注ぐ、魔法陣から出る稲妻を片付ける。取り敢えず、魔法陣を壊していけば稲妻は消えるので、せっせと月夜で魔法陣を斬り壊す。
ウルスラを倒せば魔法陣も消えるだろうが、簡単にはいかない──〝世界樹〟に刺さってからというもの、ウルスラは全身に強い魔力障壁を張っている。
しかも魔力障壁と合わせながら、全身から夥しい魔力を放っており〝世界樹〟をじわじわと削っていく。
──と、その時だ。
何だ、カラスか? いや、それにしては大きいな? 人一人ぐらい乗せて飛べそうだ。
まあ、とにかく、黒い大きなカラス似の鳥が、上空にいる俺の下を飛んでいく。
つーか、このまま行くと、目的地、王宮じゃねぇか? しかも足には〝テイムの輪〟が付いてる──あの大鴉は、少なくとも誰かが飼ってるってことだ。
キナ臭いが、まあいい、今はウルスラだ!
また稲妻を起こし始めやがった──
……だが、さて、どうするか……
〝世界樹〟に刺さった稲妻を起こしてる黒龍って、どうしたらいいんだ?
てか、まず〝世界樹〟から引き抜かないとか?
こんな時に〝スマホ〟と、世界最大の検索エンジン〝ぐるぐる〟があれば『世界樹、黒龍、刺さった、対処』で、ダメ元で検索するのにな。
元いた世界だと、一緒の孤児院の涼華がよく調べ物に利用してたな、ぐるぐる検索。ぐるぐる先生にかかれば世界の理に分からないものなど無いとか豪語していた。
……と、我ながら、こんなバカな事を考えるほどには、現状の解決法が見つからない俺は、ふと視線を下に下げる。
(ん? ありゃ、さっきの大鴉か?)
その大鴉の足には人が掴まっおり、ダラダラと血を流し、片腕が無くなってる。
(シリュウ・ブラック?)
シリュウは〝世界樹〟に刺さったウルスラを見て、これでもかと目を真ん丸に開けて固まっている。
てか、あんだけボロボロってことは、エルルカの仕業で、エルルカから大鴉に乗って逃げてきたのか?
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