第253話 黒vs黒
*
──少し時を遡る。
〝原始の黒〟黒龍・ウルスラを、俺は王宮の上空から、西の地面へと、魔力を込めた拳で叩き落とした。
地震のような轟音を轟かしながら、辺りの木や岩を根こそぎ破壊し、最後は大きなクレーターを作った所で漸く、殴り飛ばされたウルスラは陸地に止まった。
ご機嫌斜めに「GUGYAAA!!」と、ゆっくり起き上がって来るウルスラに俺は宣戦を布告する。
「悪いが容赦はしない。覚悟しな、黒龍さんよ──」
その言葉と同時に俺は急降下する、勿論ただ単に下に落下する訳ではない。
星の重力という自然の力を少しばかり拝借しながら、右足に魔力を込めてウルスラの脳天を目掛け、上から垂直に足を叩きつける。
ドバン! という音と共に、狙い通り、ウルスラの脳天に俺の蹴りが命中する。
漫画等だと、頭にヒヨコや星のマークが出てるようなピヨり具合のウルスラに更に追撃をかける。
大地を割り、山河を砕く程の威力の、魔力を強くこめた拳でウルスラを殴る──!!
だが、ウルスラの魔力障壁によってそれは防がれ、攻撃は相殺される。
後には一足遅れた旋風と、旋風により薙ぎ倒される辺りの木々が倒れ、吹き飛ぶ音だけが残った。
(チッ、復活が早いな? ──以前の〝変異種〟のヒュドラに対しても、同じレベルの蹴りをやったが……こっちは少しピヨるだけか、ヒュドラの方はぐちゃりと全身が潰れたんだがな?)
にしても、硬い。最初の攻撃も骨にヒビぐらい入れるつもりで、二発目の蹴りも脳天を割るぐらいの勢いでいったつもりだったんだけどな。
三発目の追撃に至っては、ピヨってたにも関わらず、魔力障壁で合わせられ、見事に防がれた。
〝変異種〟のヒュドラのが何倍も可愛かったな。
起き上がって来る……
というか、ウルスラは徐々に浮いてくる。
浮かび上がり、上空にいる俺と地面から起き上がったウルスラと目があった時、ウルスラは動いた。
大きな口を開け、滝登りのように急上昇してくる。
(──やべっ、食われる!?)
龍に食われる……というか、生物に食われそうになると言う、初めての感覚に流石に少し俺は慌てる。
が、食われるかと思っていた、俺に対し開かれてたウルスラの巨大な龍の口に魔力が集まり始める。
纏うは極炎──炎なんて生易しい代物ではない。
一難去ってまた一難だな。取り敢えず、食われることは無さそうだが、今度は骨まで焼かれそうだ。
俺はウルスラの攻撃を受ける事はせず、空中で横にジャンプし、攻撃範囲から外れ、避けることにする。
下から空への攻撃で助かったな。これが逆に空から地面への攻撃だったら攻撃を受けざるを得なかった。
こんな極炎魔法がエルフの森に衝突したら、被害総額を考えただけでゾッとする。一体何人死ぬことか。
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