第236話 逆恨み
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俺は〝魔王信仰〟の者たちを──女王とフォルタニア、それとドM王子のヴォロンを気にしながら、順調に吹っ飛ばす。
(流石に数が多いな? てか、ヴォロンのやつ、怪我大丈夫か? 本人は何故か喜んでるが、そもそも怪我とドMは、また何か違うと思うんだけどな……)
妖怪世話焼き爺だの、ロリコン紳士だの、ドM王子だの、異世界の男連中と来たら一体どうなってんだ?
──ッ!! 何だ、この殺気は!?
ビュン!! ガキン!! ドカン!!
「……ててて、何だ今のは? あ? ──シリュウ・ブラック?」
今しがたエルルカにも負けず劣らずの速度で、魔力を込めた双剣を振りかざしてきたのは、シリュウ・ブラックであった。
俺はそれを〝月夜〟で受け止めるが、思った以上に速度が速かったのと、不意打ちと言うこともあり、ダメージを全て殺せず──
ドカン! と、後方に数十m程、吹き飛ばされる。
久しぶりに人間に吹き飛ばされたな。つーか、8年前に糞爺に蹴り飛ばされて以来だ。懐かしや。
「貴様がガリアペスト様を──」
「あ? ああ、ガリアペストを倒したのは俺だが?」
「我が力を持って、必ず、必ずや貴様を殺す」
「おいおい、逆恨みって言うんだぜ? そういうの」
攻めてきたのそっちじゃねぇかよ!
今回もそうだけど! お前らから来てるじゃん。
ドバンッ!!!!
双剣を上から下に振りかざすシリュウ。
「おっと」
「死死、逃げられると思うな」
バックステップで避ける俺をシリュウが肩に掛けた魔力銃で、俺を追撃する。
このライフルがスピードも速いが威力も強い。コイツ本職はこっちの殺し屋だな。
俺は魔力を込めた〝月夜〟で〝魔力弾〟を捌くが、シリュウの追撃は止まらない──!
バン! バン! バン! バン! バンッ!!
10.20.30.50と弾数がどんどん上がっていく。
俺は〝月夜〟の他に〝短剣〟を一本〝アイテムストレージ〟から取り出し、この攻防戦に加える。
「陛下!!」
「シアナ女王!!」
女王の背後から〝魔王信仰〟の一人が剣を振りかざす! つーか、女王狙われ過ぎだろ!?
〝シルフディート〟の兵士共は何やってんだ!
チッ、不味いな! こっちはシリュウで手一杯だ!! しかもコイツ、気づかれないように上手く誘導して、俺を女王達から放しやがった!
クソッ! ブチギレてる割には冷静な奴め!
──ザグリ。
だが、そんな音を立てて血を吹き倒れたのは、またしても女王では無く〝魔王信仰〟の男だった。
「交代ね、女王の護衛は私がするわ、残りの〝魔王信仰〟も任せなさい──ユキマサがシリュウの相手をしてもらえるかしら? 私じゃ手こずりそうだもの」
ふぅと、珍しく少しばかり息を切らしたエルルカが、長ドスで女王を守るように構え、そう告げる。
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