第233話 増援
「そう。先の〝魔王戦争〟の時に、私が魔族──愧火を追いかけるのを妨害してきた、魔王信仰の一同は貴方の部下だったのね? 気にくわないわ」
「死死死死、それはこちらの台詞ですよ。決して弱くない精鋭だったのですがね、手駒を集めるのも育てるのも時間がかかるのですよ。そう易々と消されては此方も面白くはありません」
ギン、ギン、ガキン!!
シリュウはエルルカの攻撃を双剣で捌いていくが、余裕ぶった顔をしてるわりには決して気を抜かない。
エルルカとシリュウの攻撃が当たる一斬撃ごとに、俺のいるこの場所まで攻撃の余波の振動が届く。
「──女王陛下! こちらへ!!」
近衛兵達が女王の元へ走る。
「死死死死……逃がしませんよ」
シリュウが女王に目を放した、一瞬の隙を見逃すようなエルルカでは無かった──瞬時に魔力を込めた長ドスでシリュウの双剣の一本を弾く。
「ヒュー……」
「余所見は命取りよ? まあ、私は一向に構わないのだけどもね」
「いやはや、あの方へ贈る、特上な献上品を目の前にして、いささか気分が高揚してしまいました」
至って、然も当然かのように、女王を献上品と言うシリュウは何処までも不吉だ。
「さて、少し本気でいきましょうか──〝剣斎〟エルルカ・アーレヤスト、貴方の心臓も極上品のようだ」
「気持ち悪いわね、不快だわ」
二人の戦いは一層激しさを増す。
*
「……〝魔王信仰〟のNo.2──シリュウ・ブラック。何故コイツがここにいるの? 外の兵士達〝八柱の大結界〟の〝魔術柱〟の見張りはどうしたのよ!」
女王は珍しく声を荒げる。
「恐れながら申し上げます〝八柱の大結界〟の守備に当たっていた兵士100名は全滅しておりました。通常ならば〝雷光〟殿が指揮を取っていた筈ですが……あのスイセン服の男との戦いにより戦闘不能となり、守備が薄くなった所を狙われたようです」
「……ッ……いいわ、下がりなさい」
唇を噛み締める女王──代々、約1000年守られてきた人類の生命線とも呼べる〝八柱の大結界〟の基盤となる〝魔術柱〟が壊されたのだ。
精神的なダメージも大きかった。しかもエルフの国〝シルフディート〟の主戦力である〝二つ名持ち〟は、訳の分からない男に壊滅させられている。もしエルルカが居なかったらと思うと背筋がゾッとする。
だが、女王たちのピンチは続く──
「──敵襲!! 西より〝魔王信仰〟の増援と見られる敵影あり!! ──その数、約1000名!!」
と、絶望的なまでの報告が告げられた。
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