第226話 政略結婚
「女王様、こちらへ」
「ええ」
〝剣鬼〟ロゼ・ボーネスに守られながら、女王が下がる。ちなみにだが、フォルタニアの婚約者である──ボルス・ハンジは戦いが始まると血相をかいて何処かへさっさと逃げていった。
「──攻撃が当たらない!? しかもフォルタニア王女を抱えながら……この男、やはり……!」
「知っているのか、ベガ?」
「直接は知りません、ですが、先の〝魔王戦争〟で魔王を討った、黒髪のスイセン服の男では?」
「何だとこいつがか!?」
「正式な二つ名はありませんが、通称〝黒い変態〟もしくは〝竜殺し〟と呼ばれてる者です」
「オイ! こんな所までその呼び方広まってるのかよ!」
「ロキの差し金かしら?」
女王が俺に向かい質問してくる。
「いや、違う」
「……」
チラリと女王がフォルタニアを見る。
「嘘はありません」
「そう」
フォルタニアの言葉は信じてる様子だ。
俺はロキの頼みを断っている。
だからあいつの差し金にはならない。
俺は自分の意思でここに来た。
「女王様危険です! お下がりください!」
「ならば私が盾になろう!」
「エルルカ、手を貸して貰えるかしら?」
何か、第二王子、普通にスルーされてるけどいいのか? うわぁ、てか「──完全☆無視! 気持ちいィィ!」とか言って喜んでるよ。ブレねぇな、おい。
……で、エルルカか。
コイツに至っては完全に誤算なんだよな。
万が一、本気で敵に回ったら、正直不味い。フォルタニアを抱えながらだと恐らく無傷では済まない。
「お断りするわ、私は今回の件はあまり好きじゃないの。女王の味方もしないけど、敵対もしないわ。まあ、強いて言うならフォルタニアの味方かしらね」
「……」
これは女王も誤算だったのか、今までとは明らかに違う困ったような表情で、黙り込んでいる。
「よう、エルルカ、お前は今回は傍観ってことでいいのか? 正直、俺は助かるが」
「そうね、それに貴方は見てて飽きないものね。ふふ、待ってたわよ、ヒーロー?」
エルルカは妖艶に微笑む。
「で、フォルタニア? ウェディングドレス姿で、ユキマサにお姫様抱っこされてる件についてだけど、今回は見逃してあげるわ。感謝しなさい、普通ならそこは私の場所よ」
「あ、は、はい、す、すいません!」
慌てて謝るフォルタニアは珍しく言葉を噛んでいる。
「え、エルルカ殿!?」
「何かしらアルタイル?」
「お、お力添え、いただけないのですか?」
「言った通りよ。敵対しないだけでもありがたいと思いなさい──仮にも貴方たち、私の友人に何をしようとしたか分かってるの? 政略結婚? 私なら死んだ方がマシね」
ゾッとするような笑みでエルルカが言う。
ただ、第二王子のヴォロンは何故か、その視線を見て「はうっ!」っと、嬉しそうな声をあげて倒れ込んだのは見なかったことにしよう……ったく、あのドM王子め、今度敬語で誉めてやるから覚悟しておけよ?
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