第223話 ギルドマスター
*
──1日前。
──大都市エルクステン
聖教会・大聖堂──
そこには一人の男が足を運んでいた。
これは特例中の特例だ。普通ならば聖教会の大聖堂に今日の今日で訪れ、入室することなど不可能だ。
だが、今回ばかりは、その男のこれまでの功績と現在の立場が認められ、今に至るのである。
そして聖教会の大聖堂に居る、綺麗な銀髪と青玉色の瞳の少女──〝大聖女〟ノア・フォールトューナは、その男に向け、落ち着いた口調で口を開く。
「こんにちは。ロキ・ラピスラズリさん。こうやって話すのは初めてだね。それで私に何かご用かな? 心当たりは無くはないけど」
「急なお願いを聞き入れていただき本当にありがとうございます。この度はもう1つだけお願いがあり、こちらに伺った次第でございます」
「うん、何かな?」
「大都市エルクステンのギルドマスターを貴方様に引き継いでほしい──その頼みを聞いて貰うため私は参った次第でございます」
「私に? 随分な変化球だね。理由はフォルタニアさんの件に関係あるのかな?」
「ご存知でしたか」
「ふふ、聖教会の情報力は伊達じゃないよ♪」
「どうか、考えてはくださいませんか? この通りです! 虫のいい話しとは重々承知です! どうか、どうか、お願い申し上げます!」
床に頭を擦り付け、ロキはノアに頼み込む。
「ロキさん、貴方はそれからどうするの? 今の立場じゃいられないよ?」
「フォルタニアさんを連れ戻しに行きます。ですが、そうすれば私とフォルタニアさんは、エルフの国から追われることになるでしょう──」
「うん、そうだね。エルフの国〝シルフディート〟のトップ戦力である〝星艦〟〝雷光〟〝剣鬼〟を纏めて相手にすることになるかもね?」
「それでも私はフォルタニアさんに悲しい思いをさせるよりいい。この場所も大事ですが、家族よりも大切な物は無い! 二人で何処へでも逃げて、ひっそりと最低限の生活でいい、一緒に暮らすのです。親として、私はフォルタニアさんを支えたい」
「それで私にギルドマスターをやれってことかな? 私が言うのもなんだけど、他に誰かいなかったの?」
「実力、名声共に信頼できる方は貴方様以外にいません。どうか、お願い申し上げます」
「うーん……そうだね、分かった。いいよ」
「ほ、本当ですか!!」
驚くロキ。
「でも、1つだけ聞かせて貰ってもいいかな?」
「なんなりと」
そうしてロキは紳士のように胸に手を当てながら、ノアに対し、頭を垂れるのだった──。
★★★★★★作者からのお願い★★★★★★
作品を読んで下さり本当にありがとうございます!
・面白い
・続きが気になる
・異世界が好きだ
などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!
(また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)
★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!
長々と失礼しました!
何卒よろしくお願いします!




