第216話 潜入作戦3
*
エイジを宿まで送ると、俺はそのまま王宮に戻る。
──それにしても、この鎧、暑いな。
すると一人のエルフの兵士に話しかけられる。
「おい待て、貴様! その姿、入隊式の兵士か?」
(げ、いきなりかよ?)
「お前名前は?」
「……エイジだ……」
俺はエイジの名を借りる
「エイジ? ちょっと待ってろ?」
そう言うと男は淡く光る紙を見ると「あー」と、頷く。あれも魔法か?
「やっぱ、今日の入隊式の兵士じゃねぇか! てことは、俺の後輩だな! 俺はレゴラス、レゴでいいぜ?」
急に近づいてきたな──まあ〝ステータス画面〟の提示を求められなかっただけいいか。
「そうか……そうですか。よろしくお願いします、レゴ先輩」
最初はタメ口が出てしまったが、エイジはレゴラスの後輩らしいので、俺は慣れない敬語に変えていく。
「生意気な後輩だ、まあいい、よろしくな」
「早速ですが、先輩、ちょっと質問いいですか?」
「何だ?」
「フォルタニア……様の事です。お姫様は結婚するんですか?」
危ね、つい癖で呼び捨てにする所だった。
「そんなことも知らねぇのか? あぁ、しかも急ピッチでな?」
「お待ちください。急ピッチって、まさか、明日、明後日とかの話しですかい?」
嘘だろ? いくらなんでも早すぎる。
「そのまさかさ。結婚式は明日、そんなことも知らねぇのか? 有名な話しだぜ? 何でもシアナ様の指示らしいが、色々噂はあるぜ?」
「遠くから来てるもので、その手の話には疎いんですよ」
……。
「そういうもんかねぇ。何だ、つーかお前、フォルタニア様に気があるのか? お前なんかじゃ相手にされねぇぞ?」
「そんな色っぽい話しじゃないですよ」
「へへへ、照れなくてもいいんだぜ?」
「だから、そんなんじゃないです」
「何だつまんねぇな?」
「では、失礼──」
*
レゴラスと別れた後、俺は誰もいない細い通路にはいると徐に兜を外す。
「思ったよりも、急がなきゃみたいだな。フォルタニアが心配だ」
汗びっしょだ……よく兵士共はこんなものを四六時中身に付けてるな──
*
──エルフの国〝シルフディート〟
王宮・応接室──
そこには女王、フォルタニア、そしてフォルタニアの結婚相手の男がいた。
その男は見た目は小太りの中年のような姿をしている。長寿であるエルフが中年に見えるとは大分年は上だろう。数百は越えている。
何せ今日が初の顔合わせだ。
フォルタニアは少し緊張していた。
「フォルタニア、挨拶なさい」
「はい、お母様、初めまして。フォルタニア・シルフディートと申します」
「ホッホッホッホ。これはこれはフォルタニア殿、ボルス・ハンジと申します」
ボルスは、ニタァと歯の抜けた顔で下卑た笑みを浮かべる。
「……」
フォルタニアは無言で冷たい視線を向ける。
どうやら生理的に受け付けない相手のようだ。
「私は前々妻も前妻も心から大切にしていたのでね。勿論、フォルタニア殿も心から大切にしますよ」
……!?
フォルタニアは息を呑む。嘘だ。ボルスは嘘を吐いている。前々妻も前妻もこの男は大切に何てしていなかった。勿論、フォルタニアの事を大切にする気も毛頭無いようだ。
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