第213話 出立
*
少し時を遡る。
──大都市エルクステン ギルド──
ギルドマスター室を後にした俺はギルドの中をクレハを探し、歩いていた。理由は少しの間、この街を留守にするという事を伝える為だ。
クレハを探していると、システィアを見つけた。
「システィア!」
「ん? お、おぉ、ユキマサではないか、どうした? 私に何かようか?」
「クレハはどこにいる?」
「クレハか、クレハなら、今、授業に出ているぞ?」
「授業? 騎士ってのも大変だな、さて、どうするか──」
まあ、待っててもいいんだがな。
「ん? 何か、急用か?」
「ああ、俺は直ぐにエルフの国に向かおうと思う」
「シルフディートにか?」
「確かそんな名前だったな。つーか、フォルタニアの件は知ってるか?」
「フォルタニア殿の件とは何だ?」
知らないのか。これには少し驚く。
「まあ、全部終わったら話すよ。そうだクレハに伝えといてくれ、数日は戻らないってな」
「ああ、それは構わないが……また、無茶をするでないぞ?」
「善処する、それとエメレアにも言伝というか、ちょっと頼みごとを伝えてもらっていいか──?」
「珍しいな? 了解だ、で、何を伝えればいい?」
「ああ、実はな──」
──
────
俺はシスティアにクレハとエメレアへの伝言を頼み、そのまま──エルフの国〝シルフディート〟へと向かう。
本当は場所も分からないので、どっかで道を聞こうと考えてたのだが、システィアが地図をくれた。
俺が走っていっても半日はかかりそうな距離だ。
*
──そうして走ること約半日、念願のエルフの国〝シルフディート〟へと着く。
門には〝大都市エルクステン〟だと、第3隊のフィオレが持っていた入国履歴の残る──魔力を帯びた光る本を持った門番がいる。だが、入国履歴を残したくない俺は見つからないように、気づかれないよう素早く移動し、不法入国をする。
「つーか、何だありゃ、でっけぇ木だな? 御神木とかそういうレベルじゃないぞ?」
国に入る前から見えていたのだが、国に入るとよりいっそ大きく見える巨大な木に俺は感嘆する。
「……で、フォルタニアがいるとすれば王宮か? つーか、王宮どこだ? うーん、道聞くか」
そしてここで再登場──アルテナからもらった〝フード付きマント〟だ。これを〝アイテムストレージ〟から出し、一瞬で着替え、旅人を装う。
「そーいや、腹へったな」
クレハの婆さんの朝食以来何も食べてない俺は、すっかり空になった胃袋が鳴る。
(何か食うか、エルフの国って何があるんだろうな? 確かエルフ米とか言うのがあるらしいな)
飲食店を探しながら歩いていくと、結構混んでる店を発見する。
──!! 蕎麦じゃん!!
店の客が食べてるのはどうみても蕎麦であった。
そのまた少し先にも蕎麦屋があった。
え、何? エルフって蕎麦好きなの? 何にしろ念願の和食なので俺は空腹も手伝ってか、即決で蕎麦屋に入るのだった──。
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