第212話 エイジ
──翌日。
合格者の入隊式が王宮で執り行われた。
勿論、ステータス画面の確認などもあった。
ちなみに今回の首席はオックボック・テイアだ。レベルは68。2つ名は無いにしろ確実に強者だ。
昨日から黒髪の兵士志望の少年はフォルタニアのことで頭がいっぱいだった。
今日も遠目からだが、フォルタニアの姿を拝見できた。
儚げで、美しく、でも、どこか幼いフォルタニアを兵の少年は、いつの間にか救いたいと思っていた。
別にフォルタニアに惚れただの、恋だの何だのでは無い。強いて言えば昨日のお礼がしたかった。
そんなことを考えて廊下を歩いていた時だ──
何者かに意識を刈り取られたのは。
──
────
*
王宮の中を歩く、顔まで隠した全身鎧姿の人物は、てくてくと王宮を進んでいく。
「おい待て、貴様! その姿、入隊式の兵士か?」
とある部屋の前に着くと、見た目からして同じく兵士だと思われるエルフの男に話しかけられる。
「お前名前は?」
「……エイジだ……」
「エイジ? ちょっと待ってろ?」
そう言うと男は淡く光る紙を見ると「あー」と、納得したように頷く。
「やっぱ、今日の入隊式の兵士じゃねぇか! てことは、俺の後輩だな! 俺はレゴラス、レゴでいいぜ?」
「そうか……そうですか。えーと、よろしくお願いします、レゴ先輩」
「生意気な後輩だ、まあいい、よろしくな」
「早速ですが、先輩、ちょっと質問いいですか?」
「何だ?」
「フォルタニア……様の事です。お姫様は結婚するんですか?」
「そんなことも知らねぇのか? あぁ、しかも急ピッチでな?」
「お待ちください。急ピッチって、まさか、明日、明後日とかの話しですかい?」
「そのまさかさ。結婚式は明後日、そんなことも知らねぇのか? 有名な話しだぜ? 何でもシアナ様の指示らしいが、色々噂はあるぜ?」
「なるほど。自分は遠くから来てるもので、その手の話には疎いんですよ」
……。
少しの沈黙。
そしてレゴラスは兵の少年をじっくり見る。
「そういうもんかねぇ。何だ、つーかお前、フォルタニア様に気があるのか? お前なんかじゃ相手にされねぇぞ?」
「そんな色っぽい話しじゃないですよ」
「へへへ、照れなくてもいいんだぜ?」
「だから、そんなんじゃないですってば」
「何だつまんねぇな?」
「では、失礼──」
*
レゴラスと別れた後、エイジと名乗った少年は誰もいない細い通路にはいると徐に兜を外す。
「思ったよりも、急がなきゃみたいだな。フォルタニアが心配だ」
──その人物は稗月倖真であった。
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