第209話 ドM
「母上、このヴォロン・シルフディート、食事に参りました」
「そう、貴方とは食事を共にしたくないわ。汚いんだもの」
「ふぐふぁ!? あ、ありがとうございますっ!」
土下座で礼をいうヴォロン。
それを冷ややかな目で見る女王の視線を浴び「さ、さ、流石、母上だ……!」と感嘆の声を漏らす。
「ヴォロンクソ王子様、残飯の準備ができております。どうぞこちらへ──」
女王の側近兼メイド長の女性が手慣れた話し方でヴォロンに話しかける。
案内された先には箸が付き刺された犬用の器に残飯が盛られている。
器にはヴォロンと名前が書いてある。
「いただきます」
キリッとした顔で食事(?)を始めるが、どうしても格好はつかない。
女王が席を立ち──「興が冷めたわ」と言い残し、そそくさとその場を立ち去る。
「母上は流石だ、私のドM冥利に尽きる……!」
((((((自覚あったのか!!))))))
メイドたちは心の中で同じことを思うのだった。
*
翌日。
──エルフの国〝シルフディート〟王宮前──
「気ヲ付けィィ!」
1人の黒い武将髭の男の声が辺りに響く。
辺りには数百人の兵士志望者がいる。
「これより、入隊試験を始める! 尚、試験官は私1人のみだ! 試験は簡単だ。1時間後、この場に立っていられた者のみ入隊を許可する! それでは諸君の武運を祈る!」
次の瞬間、ドォォン! と、鐘がなる。
試験開始の合図だ。
試験内容は至って簡単、バトルロワイヤル方式だ。
試験官は先程の男──名前はロゼ・ボーネス1人だが、兵士同士で戦っても何ら問題はない。
とにかく試験終了の1時間後まで立ち残っていれば合格というシンプルなルールだ。
「始めェい!」
その掛け声と共にドン! っと、剣を振るい、ロゼは10人の意識を刈り取る。
「ぐわぁ!」
「早ぇぇ!」
「〝剣鬼〟の名は伊達じゃねぇ!」
ロゼ・ボーネスの2つ名は〝剣鬼〟レベル80越えの実力者だ。
「ほれほれ、どうしたぁ!」
叫ぶロゼ。
「クソ! 強ぇぇ!」
「1時間も持つのか!?」
「一体何人が合格できるんだ?」
そんな声があがる、そんな時だ。
「──下がっていろっ!」
20代ぐらいの紫色の髪の青年だ。
剣を抜き、ロゼの剣をガキンと受け止める。
「ほう? 貴様、名は何という?」
「オックボック・テイアと申します」
すかさずオックボックは剣を振るう。
「おっと……」
だが、剣は寸での所で避けられる。
「ほう、骨のあるのがいるようだな」
そう言うとロゼの纏う雰囲気が変わる──
「少々本気でいくぞ?」
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