第207話 女王
*
緑の濃い新緑の森が生い茂る中。その国はあった。国の中心には世界最大の樹木──通称、世界樹がある。どういう仕組みか、世界樹の上層部からは滝のように水が流れている。水質は最高品質だ。
1日前。
──エルフの国
シルフディート・王宮──
「久しぶりね、フォルタニア、元気だったかしら?」
その姿はフォルタニアから幼さだけを消したような、瓜二つの姿である。名は──シアナ・シルフディート。この国のトップであり女王だ。
「お母様、ご無沙汰しております。フォルタニア・シルフディート、ただいま帰りました」
「ええ、お帰りなさい」
淡々と告げる女王。その台詞とは裏腹に実の娘の帰りを喜ぶ素振りは無い。
「フォルタニア、明日、貴方の結婚相手に会って貰うわ。いいわね」
「……嫌です」
フォルタニアのスキル〝審判〟は相手が嘘を吐いてるかどうかがスキルだ。
だがそのスキルには代償があった。
フォルタニアは嘘が吐けない。
もし嘘を吐こうものならば気を失うほどの頭痛が頭をかけ巡る。
「そう、嫌でも会って貰うわ」
「……」
故に無言である──女王もフォルタニアが嘘を吐けないのは十分承知だ。イチイチ構ったりしない。
「部屋に戻ります」
そう告げると、そそくさと与えられた自室に戻るフォルタニア。その背中を女王は無言で見送る。
自室に戻ると、まるで倒れ込むようにフォルタニアはベッドに横たわる。
(これでよかったのですよね……ロキ……)
ダメだ。ロキを思い出すと涙が止まらない。
生まれてこなかった事にされていた為、王宮を追放され、よその国の貧民街で野宿生活を送ってたフォルタニアを救ってくれたのがロキだ。
フォルタニアの実の父はフォルタニアが生まれて直ぐに亡くなってしまっていた。
ロキに拾われてからは、ロキの事を、まるで父親のようだなと思うようになった。
楽しいも嬉しいも美味しいも全部ロキが教えてくれた。大好きな私の血の繋がらない家族。
それがロキへの嘘偽り無いロキへの思いだ。
(それにしても顔も知らない相手と結婚とは……まるで、あの女の道具にでもなった気分です。まあ、実際そうなのでしょうね)
何処か諦めてしまった様子のフォルタニアは天井を仰ぐ。
「お腹空きましたね……」
そう呟くとフォルタニアは侍女たちを呼び、何か食事を作ってもらうのだった──
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