第203話 病み上がり
──翌日。すっかり熱の下がったクレハと共に寝室から居間へ顔を出す。
「クレハ、ユキマサさん、おはよう。クレハは熱は大丈夫かい!?」
「お婆ちゃん、おはよう! うん、もうすっかり元気だよ。お薬ありがとう!」
「あらあら、すっかり元気みたいね。本当に良かったわ」
そしてテーブルを見ると三人分の朝食が用意されている。
メニューはバターの乗ったトーストにハムに目玉焼き、トマトにレタスといった洋食だ。
「おはよう、婆さん、それと厚かましい質問だが、その朝食は食べてもいいのか? ──いや、何つーか腹が減っちまってな」
和食じゃないじゃないかって?
別に俺は普通に洋食も食べるぞ?
「もちろんさね、たーんと食べておくれ!」
笑顔の婆さん。
お言葉に甘え席に着くと。
「いただきます」
「いただきまーす!」
俺とクレハは手を合わせ食事を取り始める。
「美味しい!」
満足そうなクレハ。
うん、美味いな。
バターが良い味を出してる。
病み上がりのクレハも食欲があるのは良いことだ。
その後も三人で食事を取り、食器を片付け、出掛ける準備をする。
「病み上がりで大丈夫か?」
「うん、すっかり、ユキマサ君の看病のお陰だよ」
「別に俺は何もしてねぇよ」
「もー、またそうやって!」
「まあ、エメレアやミリアが心配してるだろうからな。元気な顔を見せてやるといい」
「うん、果物のお礼もしなきゃ」
そう言うクレハは何処か嬉しそうだ。
「ユキマサさんもギルドに行くのかい?」
「ああ、今日こそ依頼を受けてみようかと思ってな?」
「ユキマサ君、一応、冒険者だもんね、一応」
「何で二回言うんだよ?」
一応じゃないぞ! 俺はれっきとした冒険者だ。
だが……今までの依頼は『私をここから逃がすのです』という、非公式のアリスの依頼とレヴィニアの護衛依頼だけだ。
魔王信仰と戦ったり、魔王戦争が起こったりで、そんな暇が無かったって言えば無かったんだが……
「だって、ユキマサ君、冒険者っぽくないもん」
「いや、どう見ても冒険者だろ?」
自分で言うのも何だが、俺はクレハやシスティアみたいな騎士には見えないだろう。
残念ながらそんな気品は持ち合わせていない。
「いやいや、見た目の話しじゃなくて……もぅ、ユキマサ君のこれまでの戦歴、普通の冒険者の戦歴じゃないよ? それこそ勇者とか英雄とかのレベルの話し」
「英雄はロキの二つ名だろ? 後、人類の英雄だと、天聖がそう呼ばれてるんだったか?」
つーか、天聖が人類の英雄ならロキは何の英雄なんだろうな?
「相変わらず呑気だよね、ユキマサ君は」
はぁ、と溜め息を吐くクレハ。
「あ、そろそろ行かなきゃ、ユキマサ君、行くよ?」
「ああ、今行く」
すると、くるりとクレハは振り返り、
「じゃあ、お婆ちゃん行ってきます」
婆さんに行ってきますの挨拶をする。
「はい、いってらっしゃい!」
そうして、婆さんに見送られ、俺とクレハはギルドに向かうのだった──。
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