第202話 一緒に
「話は別に大歓迎だが、何の話をするんだ?」
何処か真剣な眼差しのクレハに俺は返事を返す。
「ユキマサ君のこと。私が踏み込んで良いのか分からないけど、嫌だったら止めてね──何で、ユキマサ君、泣かないの?」
「唐突だな、昨日の俺の婆ちゃんの事か?」
「うん……もし私だったら、一生立ち直れないぐらい泣いちゃうと思う」
ショボンと話すクレハの表情は暗い。
「……悲しくない訳じゃない……分からないんだ……いつもそうだ。頭が真っ白になって、でも、何処か冷静な自分がいる……全く嫌になる……」
「そうなんだ……でも、やっぱ変だよ。辛くないわけないもん……」
「──泣けば親父や母さんは生き返るのか?」
何を言っているんだ俺は……違う、違う、クレハにこんな嫌な質問をしたいわけじゃない。
「生き返らないよ、でも、だからって泣かない理由にはならないと思うよ」
クレハは真剣に返事を返してくれた。
「変な質問して悪い、気が動転してた」
「大丈夫だよ、気にしないで」
優しく笑ってくれたクレハに俺は感謝する。
「クレハありがとな、でも、俺は今ここで泣いたりはしないよ──もし泣くなら一緒に泣きたい奴がいるんだ」
「理沙さんだね?」
「ああ……」
「そっか、うん、分かったよ。……でも、少し妬けちゃうな。理沙さんが羨ましいよ」
そう言うとクレハは背中から俺に凭れる体重を少し重くする。
「ユキマサ君……少しお願いしていーい?」
「何だ?」
「もう少しこのままでもいい?」
現在、クレハはベッドの上で俺の胸に背中から寄りかかる状態でいる。
「好きなだけいろ? 俺に遠慮は不要だ」
「ほんと! やった!」
するとクレハは力を少し抜き、更に体重を預けてくる。
不思議と全く重くは感じなかった。むしろ心地良い。そう思う──。
*
──大都市エルクステン
料理屋〝ハラゴシラエ〟──
昼過ぎ、お客で賑わう〝ハラゴシラエ〟に2人の少女が足を運んでいた。
「ミリア、何食べる?」
「私はパスタにしようかな? エメレアは?」
「そうねぇ、私もパスタにしようかしら。後、サラダも頼みたいわ」
メニューを眺め「どれにしようかな」と、目を輝かせるミリアを見て、思わずエメレアは頬を緩める。
「あ、アトラさん! 注文いいですか!」
はいはーい、と手をあげたエメレアがウェイトレス姿の金髪ショートの少女、アトラに話しかける。
「エメレアさん! ミリアさんも! いらっしゃいませ!」
パタパタと早足で嬉しそうに走ってくるアトラ。
「今日も(忙しそう)ですね、あ、私はアサリのパスタとサラダをお願いします」
「はい、かしこまりました! ミリアさんはどうしますか?」
「あ、えと、私はカルボナーラを、い、いつもの感じでお願いします」
指をピースし、Vサインをするミリア。
「はい、いつもの2キロですね! かしこまりました! 少々お待ちください!」
そう言うと、厨房に注文を通すアトラ。
「それにしてもクレハの風邪、心配ね」
「うん、早く良くなるといいけど」
「お婆ちゃんが風邪薬も買ってったし、すぐ良くなるわよ! そしたら今度はシスティアさんも呼んで皆で食事に来ましょ?」
「そうだね、あ、あと、ユキマサさんも呼ぼ!」
「うぐぐぐぐぐ……はぁ、ミリアが呼びたいならいいわ。全くクレハもミリアもあいつのどこがいいのかしら? まあ、多少はイイ所もあるかもだけど……」
「自分で気づいてないだけで、エメレアも本当はユキマサさんをちゃんと認めてる筈だよ?」
至って真剣に話すミリア。
「なっ! そ、そんなこと無いわよ!」
顔を赤くし憤慨するエメレアをミリアはクスリと楽しそうに笑いながら、注文した料理の到着を待つ。
その後、10分程度で料理が出てきて、二人で食事をするとエメレアとミリアはギルドに戻るのだった──
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