表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
189/858

第188話 過去編・花蓮ノ子守唄19



 ──バスに乗り、稗月(ひえづき)家の墓地へ俺と理沙は向かう。


 途中、花束と線香、ライターを買った。

 親父への酒は牧野が持ってきてくれていた。


「──あれからもう8年以上経つのか……」


 窓の外を見ながらボソリと俺が呟く。

 あの日──親父と母さんが山の事故で亡くなってからの年月だ。


「ユキマサ……」


 そっと、理沙が俺の手に手を合わせてくる。


「悪い、ありがとな」


 自分の中で何となく整理をつけたと思ったが、今でもまだ、変な喉のつかえのような物が残っている。


「あ、降ります!」


 ポンと理沙がバスのボタンを押す。


 バスを下りると、徒歩で墓地へ向かう。


「ねぇ、ユキマサ、お化けっていると思う?」

「どうした? 唐突に?」


「ううん、何でもない」

「……いるかどうかは知らないが、見たことは無いな」


「幽霊でも何でもいいから、私はもう一度おとーさんとおかーさんに会いたい……」

「理沙……」


 涙ぐむ理沙に俺はそれ以上の言葉を返せず、繋いだ手を少しばかり強く握る。


 そのまま無言で墓へ歩く。


「着いたな」

「うん」


「まずは掃除だな、つーか、一ヶ月でここまでよく汚れるよな」


 雨風に当たり、砂埃を被った、親父達の墓は掃除しなきゃなと思うぐらいには汚れていた。


「うん、バケツも借りてきたし、雑巾も持ってきたよ」

「よし、取りかかろう」


 と、俺と理沙はバケツに水を汲み、

 軽く流した後、しっかりと雑巾で墓を磨く。


 墓の掃除が終わると花を飾り、お供え物を供え、線香に火をつけて墓に手向(たむ)ける。


 理沙は少しばかり長く手を合わせていた。


 *


「意外と時間かかっちまったな」


 時計を見ると13時半を回っている。

 お昼にしては少し遅めの時間だろう。


「ユキマサ、お腹空いた?」

「ああ、減ってきたな」


「私も、じゃあ、お昼にしよっか」

「勿論賛成だ、腹へった」


 墓の階段に腰を掛け、理沙の作った弁当を広げる。


 メニューはおにぎりとサンドウィッチに卵焼きだ。

 それに水筒に味噌汁も持ってきてくれている。


「「いただきます!」」


 俺はおにぎりを口に運ぶ。


(これは鮭か、美味いな!)


「はい、お味噌汁」

「お、悪いな」


「ホントよく飽きないよね。朝もごはんと味噌汁食べたのに、またお昼におにぎりと味噌汁何て」

「3食いけるぞ? つーか、理沙、また腕を上げたな?」


「えへへ、本当? おにぎりはあまり握らないのがコツなんだよ」


 嬉しそうに笑う理沙はサンドウィッチを食べている。ちなみにその前の話からするに理沙は連続で米は嫌だったらしい……


「なるほど、にしても沢山作ったな?」


 20はあるぞ? これ……

 それに対するサンドウィッチは3つ……


「残しちゃダメだからねー」

「いや、残さないけどよ?」


 まあ、これぐらいは俺ならペロリだ。

 それに味も美味しいしな!


 昼飯を食べ終えると帰路に着く。


「おとーさん、おかーさん、また来るね」


 そんな言葉を理沙は残していた。


 *


 ──その夜


 俺は既に熟睡していた。


 パタン。


 部屋のドアが開く音がする。


「えい!」

「ごふっ」


 俺の鳩尾(みぞおち)と腹に理沙の拳があたる。

 寝ている俺に肩でも叩くかのようにハンマーパンチで起こされた。


「こんな時間に何の用だよ……つーか、普通に起こせ」

「寝れないから眠くなるまで一緒に起きてて」


「何だそりゃ? まあ、別にいいけどよ」

「ほんと? なら、少し話そうよ」


 と、言うわけで理沙と一緒にベットに腰かけ、他愛の無い話しをするが、

 一時間ぐらい話した所で理沙は寝てしまった。


「つーか、俺のベットで寝るんかい……」


 まあ、寝てしまった物は仕方がない。

 俺は床で寝るか。せっかく寝付けたのに起こすのも悪いし、まさか一緒のベットに潜り込む訳にはいかないしな。


 そう思った俺は小さく「おやすみ」とだけ理沙に言い、少々固いが床で寝るのだった──



 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


・面白い

・続きが気になる

・異世界が好きだ


 などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!

 (また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


 長々と失礼しました!

 何卒よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ