第169話 前代未聞
理沙が目を覚ますと、ボワリと白く光る小さな部屋にいた。
『えっ!? ど、どこ!! ここ!? ていうか、ユキマサは!? ──わ、きゃっ!?』
辺りを見渡すと──理沙は金髪のショートの女性と目が合う。
だが、その女性も理沙を見て目を丸くしている。
『あ、あれ!? 嘘でしょ! 私間違えた!?』
『……えーと、あの、ここって何処ですか?』
その女性に理沙は恐る恐る訪ねる。
『こ、ここは私の部屋ですが……ダメ元で聞かせてください。あなた、稗月倖真さんではないですか?』
『いえ、違いますけど……』
『や、やっぱり!! どどどどうしましょう!? 誤召喚何て前代未聞です! ──あ、アルテナ先輩、た、助けてー!』
そう言い残すと、その女性はヒュンと消える。
『き、消えた!!』
取り残された理沙は呆然とその場に立ち尽くすのだった──
*
しばしその場で理沙は頭を抱えた。
な、何!? なんなの!?
ていうか、何でユキマサに私間違われたの?
『あのー、もしもーし、聞こえますかー♪』
『きゃっ!?』
気づくと隣に人がいた。
突然話しかけられ、理沙は心底驚く。
『び、ビックリした……えーと、貴方は?』
長い銀髪のまるで絵に描いた女神のような女性だ。
『はじめまして──私はアルテナと申します♪ 職業は神様です♪』
『あ、アルテナって携帯の文字の!?』
『はい、そうですよ♪ まあ、取り敢えず今あなたが一番聞きたいであろう情報をお伝えしますね♪ あなたは私の後輩女神のクロエスの手違いで、この天界へと召喚されました♪』
『て、天界!? 召喚!?』
一体、何のことだと理沙は頭を抱える。
『えーと、まずこの状況が状況なんで、あなたが女神様ってことを信じるとして、私帰りたいんですけど、後、ユキマサは何処にいるか知りませんか?』
『ユキマサなら異世界に魔王を倒しに行ってくれてます♪ それと貴方の帰還ですが、今は申し訳ありませんが、それはできません』
『ま、魔王!? それに帰れないって、な、何で、ですか!?』
『落ち着いてください♪ 今はの話です。それと理沙さん、こちらの落ち度からの提案で大変申し訳ありませんが、貴方もユキマサと同じ異世界へと行ってみませんか?』
『い、異世界にですか! でも、私、ユキマサみたいに強くないですよ!』
異世界と言うんだから、ゲームみたいなモンスターが出ることを予想した理沙が慌てて返事を返す。
『そうですね、今回は特別、私から魔力を授けます♪』
『ま、魔力!?』
『はい、魔力です♪ 行き先もそうですね、少しあなたへの心当たりがあるので、そちらに──♪』
*
「おい待て、お前、アルテナに魔力貰ったのか!?」
え、そう言うのって最初にまず俺じゃないの?
漫画とかだと、それ一番最初に召喚された俺が貰えるやつじゃないの?
初期装備以外だと、俺、お守りしか貰ってないぞ! いや、嬉しいけど! お守り! そう漫画チックにはいかないのか? まあ、理沙が丸腰で異世界に放り出されなかったのはスゴくよかったけどさ?
「うん、貰ったよ」
そう言うと理沙は両手から「まだ慣れないけどね」と炎を出す。いや、結構覚え早いんじゃないか?
「で? 理沙は分かったが、糞爺は何でいやがる? いや、本当にマジで……? まさかアルテナに呼ばれたなんて言わないよな?」
理沙の話を黙って聞きながらフォルタニアの煎れてくれたお茶飲む、糞爺に俺は質問を投げる。
「なわけ、わしは元からこっちの生まれじゃ」
「はぁッ!? ──なんだと!?」
「八年前にわしはこっちに帰ってきたんじゃ、魅王の病気を治すためにな?」
「婆ちゃんの病気を? 話が見えんぞ?」
俺の祖母──稗月魅王は生まれつき病気だった。俺にも治せない生まれつきの病気だ、八年前の時点で、婆ちゃんはかなり危ない状態だった筈だ。
「これじゃこれ──〝天聖の遺産〟じゃ、聞いたことは無いか? その1つの〝生命の秘薬〟これをわしは探しに来たんじゃ」
ひょいっと、野球ボール程度のサイズの、樹の形をした透明な物体をこちらに投げてくる。
「「「!!」」」
ノア、ロキ、ミリアがいち早くそれに反応する。
「うぉっと──つーか、肝心なことがまだもう1つ聞いてないぞ? どうやって、こっちに来た?」
「それも〝天聖の遺産〟じゃ〝転移石〟──それでわしは昔、この世界から日本へ渡ったんじゃ、往復分で壊れてしまったがの?」
「おい……マジかよ……」
え、ていうことは、俺……4分の1ほど異世界人の血が流れてる異世界クォーターなの?
道理で俺が魔力を持って生まれてきたわけだ……
「ちょっと待ちなさいよ! どういうことかちゃんと説明しなさい! 大体、誰よ、この可愛い子!」
ビシッと、理沙を指さすエメレア。
「話すとしたら、イチから話さなきゃならんぞ?」
「いいから話しなさい」
「私も聞きたいかな」
「わ、私も!」
エメレア、ノア、クレハに間を開けず返事を返され、俺と理沙は元いた世界の話を口にする──
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