第166話 魔王戦争ガリアペスト編21「決着」
──大都市エルクステン・東部──
そこには──魔獣ゴライアスの変異種と戦う、狼人族の青年、第1騎士隊長ティクタス・フーズレイズ率いる第1騎士隊と冒険者達の姿があった。
「冒険者の皆さん! 距離を取ってください!」
無闇に近づき過ぎる冒険者達にティクタスが注意を促す。
と、次の瞬間、何者かが冒険者を斬り付ける。
「!!」
それにいち早く反応し、防いだのはティクタスだ。
「へぇ、強ぇのがいるな?」
挑発的な声、そして着流しの服に全身包帯ぐるぐる姿の男性だ。
「魔族──愧火!?」
「俺は、そこのゴライアスに用があるんだよ」
「なぜ、貴方が?」
意味不明な愧火の言葉にティクタスが問いかける。
「魔王軍は撤退だ、このゴライアスは捨てて行くには少し惜しいんでな? 回収していくぞ──」
そう言うと、愧火はゴライアスを片手で掴み、ドォォォン! と、高速でぶん投げる!
「「「「なっ!?」」」」
20mはあろう、巨人を軽く投げ飛ばして移動させたのだ。周りからは信じられないとばかりの声があがる。
──ヒュン! ドンッ!
ティクタスが愧火に斬りかかる!
「まんまと逃がされてしまいましたね……ですが、貴方は簡単には逃げられると思わないでください」
「いいねぇ、いい目だ──」
そんなティクタスを楽しげに見て愧火は笑う。
*
──大都市エルクステン付近・上空──
俺とクレハは空飛ぶ魔王城にて魔王ガリアペストと対峙していた。
ドン、ドン、バン、ドン、ドン!
ガリアペストとの攻防が苛烈を増す。
「後は、脳と心臓1つずつか……時間も無い、本気でいくぞ──」
そして……
バンッ! と、魔王城の地面を強く踏み込み、
──ぐちゃり。
魔王との距離を一気に詰め、魔力を強く纏った右手で魔王の心臓を握りつぶす。
魔王が血を吐きながら目を丸くする。
「素早く移動して、心臓を握りつぶしただけだ。簡単だろ?」
ドォン!
何だ!? 魔王城が急上昇する。
「おい、クレハ? 魔王って呼吸するのか?」
「わ、分からないけど、呼吸の持ちは、人間とは絶対に違う筈だよ」
なるほど、このまま急上昇して宇宙へ逃げるつもりか──宇宙空間で俺達が酸欠を起こすも良し、魔王に取っては俺達がここでこの魔王城を降りても良しということか?
簡単な作だが、中々、考えたじゃねぇかよ?
だが、まだだ。
それまでに魔王を倒せばいい──
終わりにしようぜ。魔王がリアペスト。
ガリアペストも次で俺を仕留める気なのか今までにない魔力を纏った黒い渦を巻く魔法で俺を攻撃する。
俺は剣に魔力を強く、強く込め、
ダンッと、魔王城の地面を蹴る。
「──真迦・鳳閻雫刃!」
ザンッと、俺は魔王を魔法と共に真っ二つに斬る!
「バカ……ナ……」
──バリバリ、バーン!
魔王にラグのような物が走り──消える。
「た、倒したの!? ほ、本当に!?」
クレハが目を丸くする。
「みたいだな」
すると魔王が消えた後に宝石みたいな青い石みたいなのがドロップ(?)する。
「ユキマサ君、それ魔王石! 魔王石だよ!」
ズゥゥン!
クレハが魔王石なる物を見てテンションを上げるが、動力を失った魔王城が空の上で崩壊する──
「クレハ!」
「ユキマサ君!」
俺はクレハの手を取ると──ブォォォ! と、風が吹き抜ける感覚と共に落下し始める。
「ユキマサ君、高くない!? だ、大丈夫かな、きゃああぁ!」
「大丈夫だ、後は任せろ!」
そう言うと俺はクレハを抱き抱える。
……が、頭から俺達は逆さまに落下し、
落下の時速は200kmぐらいで安定する。
「──うん、任せるよ」
そう言うとクレハは、こんな状況下なのにホッとしたように俺の胸に頭を預けてくる。
そうして俺は地面に着地する寸前、足に魔力を纏い、ボワリと半回転するようにし、無事着地するのだった。
★★★★★★作者からのお願い★★★★★★
作品を読んで下さり本当にありがとうございます!
・面白い
・続きが気になる
・異世界が好きだ
などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!
(また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)
★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!
長々と失礼しました!
何卒よろしくお願いします!




